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超妹理論  作者: 揚羽常時
二年生三学期編
287/298

天敵論4


 次の日。


 その朝。


 僕は、


「むにゃむにゃ」


 と睡魔と闘っていた。


 フレッシュジュースを飲んで、トーストの上に目玉焼きを乗せてかぶりつく。


 うむ。


 美味。


「華黒先輩に慕われるとこんな風に尽くしてもらえるんですね……」


 感嘆として言ったのは水月。


 いやいや。


 君のところは使用人に溢れてるでしょ。


「真白先輩」


 へぇへ。


「華黒先輩を俺にください」


「却下」


「じゃあ分けてください」


「いきなりグロに話が飛んだね」


「いえ、この際割くのは華黒先輩の固有時間です」


 にゃるほど。


 トーストをがじがじ。


「何納得してるんですか兄さんは」


 プクッと膨れる華黒だった。


「だって華黒……僕以外に靡く時間を作れる?」


「無理ですね」


「無理なんですか……」


 肩を落とす水月くん。


 南無八幡大菩薩。


「黛さんとしては是非とも水月に頑張ってほしいところですね」


 強力なライバルが減るだろうからね。


「でも現実問題華黒が脱落してもルシールがいるよ?」


「………………ふえ……」


 顔を真っ赤にするルシール。


 可愛い可愛い。


「ルシールとは親友ですしお姉さんは共有財産にします」


 さいでっか。


 さて、


「御馳走様でした」


 一拍して僕は朝食を終えた。


 それから身だしなみを整えて制服を着る。


 それから奇妙なクインテットは登校する。


「行ってきます」


 と誰もいない虚空に声をかけて。


 ガチャリと施錠。


「華黒先輩。今度の日曜は俺の家に来ませんか? 歓迎しますよ?」


「謹んでごめんなさい」


「行ってあげたら?」


 僕は僕の腕に抱き着いている華黒に言葉を差し向ける。


「兄さん以外の人間にはあまり時間を割きたくないんです」


 愛い奴め。


「よしよし」


 僕は空いている方の手で華黒の頭を撫でた。


 華黒はトロンと瞳を歪める。


「えへへ。至福です」


「そりゃ重畳」


「じゃあ真白先輩もご一緒に……」


「別にいいかなぁ」


「そう言わず」


「クラスメイト同士ルシールと黛でも誘えば?」


「無論来てくださるなら大歓迎ですけど」


「…………あう……」


「黛さん教養無いので富豪の家はちょっと気後れするっすよ」


 にゃはは。


 なんて笑う。


 どうやらルシールと黛も乗り気ではないようだった。


「豪華な御馳走だしますよ?」


「僕の場合は華黒の手料理が何よりだしなぁ」


「やん。兄さんったら……」


「華黒先輩は?」


「特別歓待を受けようとは思えませんね」


 真白ニズム全開だった。


「………………あう……ごめんね……?」


「謝られることでもない気がしますが」


「なはは。黛さんはむしろ料理をふるまう方が好きっす」


 まぁ黛ならそうだろう。


 そんなことを話しながら登校中。


 衆人環視の視線も今更。


 元より自分が見えないため気にするこってもない。


 気後れはするけどね。


 そんなこんなで昇降口。


 僕らは上履きに履き替えて、それぞれの教室へ。


 ルシールと黛と水月は一年のクラスへ。


 僕と華黒は二年のクラスへ。


 この瞬間だけ僕と華黒は公で二人きりになれる。


「えへへ。うへへ。うえっへっへ」


 ええ、まぁ、なんというか。


 今日も華黒は平常運転です。


 クラスに着いたら猫を被らなくてはならない身のため、廊下を歩いている間くらいは好きにさせよう。


「兄さん?」


「愛してるって?」


「先に言わないでくださいよぅ」


 あら?


 正解?


「まぁいいんだけどさ」


「なんか兄さんの周りに女の子が増え続けて危惧してしまいます」


 嘘つけ。


 嫉妬してるのは事実だろうけども。


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