『ハロウィンの日に』4 ※統夜の場合
感想でリクエストがあったので、突発的な統夜回を投稿してみました。
統夜の一人称なんて久しぶりすぎて、もしかしたらキャラが破綻しているかも知れません。
その時は容赦なくツッコんでくだされば。
(トリックオアトリート)
六連が、いきなり言い出した。
正確には、念話だ。
どうしたポンコッツ。
(誰がポンコッツ!?)
他にいるか?
(何その当たり前みたいな感想!)
で、要件は何だ?
ベッドから起き上がって、
「うーん」
と背伸びする。
(悪戯したい)
お菓子をあげよう。
(統夜意地悪)
今気付いたか。
はっはっは。
ま、実際感謝はしている。
とびきり美味しいお菓子を用意してやるよ。
(本当?)
六連は、首を傾げた。
ぐ、可愛い。
背中の黒羽根が、また蠱惑的。
金色の髪と瞳が揺れる。
バックルが無数に付いた、黒の全身タイツ。
典型的な悪魔然としていますが、悪魔です。
あれ?
お菓子やらないと殺される系?
(そんなことで殺さないけど)
ならいいんだが。
六連のせいで、早く起きてしまった。
ダイニングに、顔を出す。
「これは統夜様。何かご要望は?」
とは、使用人さんの言葉。
「ホットコーヒー」
「承りました」
そして、丁寧に、淹れてくれる。
「なあ」
「何でございましょう?」
「美味しいお菓子に、心当たり無いか」
「そういえばハロウィンでしたな」
「だな」
(わお!)
六連うるさい。
(素直じゃないなぁ)
いや、まぁな。
たしかに恩人であるし、魅力的でもあるし……体のラインは白銀比で出来ているし、ゴールドシルクで出来たような麗しい髪……特に金色の目は、奥深くて――
(うわあああああああああああああああああっ!)
絶叫が、響いた。
俺にしか聞こえないが。
(はずかしい評論禁止!)
本音だが?
(どんだけ好きなの!?)
星空のディスタンスくらいか?
夜にて統べる星さんよ。
(絶対悪戯してやる)
じゃあ、お菓子は、俺が独占と言うことで。
(そ、それは……)
何か?
(うぅぅぅ……)
「ちなみにお菓子の内容は?」
「木苺とマスカットのタルトが昨今近くのケーキ屋で話題になっておりまして」
だ、そうだ。
(食べる!)
正直で宜しい。
俺は、六連のボディアーマー越しに、おっぱいを揉んだ。
「ふむ」
(ふむじゃないよ~!)
真っ赤になって、憤激の六連。
頭から、湯気を噴いていた。
(エッチ!)
男子高校生なんて、そんなモンさ。
(変態!)
同義語だぞソレ。
(セクハラ!)
せめて人間社会に馴染んでから言ってくれ。
俺以外の誰にも見えない悪魔さん?
おまえに、自分のおっぱいを守る権利は無い。
(レディの扱いを要求するよ!)
今日は、お菓子を調達出来ない奴に、悪戯出来る日だしな。
「コーヒーにございます」
「どうもです」
ブラックで頂く。
多分、今日は、真白も、てんやわんやだろうな。
(面白いことになってるよ)
目に浮かぶようだよ。
(華黒、おっぱい大きいもんね)
誰と戦ってるんだお前は。
華黒ちゃんが魅力的なのは……たしかにそうなんだが。
アレはカテゴリーエラーだ。
姉貴と同種で、おそらく人間を止めている。
(むー……気になるの?)
否定すると嘘になるが、真白に勝てるとは思わん。
ソレに、俺には、六連が居るし。
(あう……)
プシュー。
機関車の如く、頭ら湯気を再度、吹き出す六連さんでした。