表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超妹理論  作者: 揚羽常時
二年生編
180/298

『いざ避暑』3


「海だーっ!」


 飛び出せ青春。


 ちなみに先の言は黛である。


 今回の避暑地にいるのは僕と華黒とルシールと黛と昴先輩と白花ちゃん……それに加えて各々のサポートをする六人の白坂の雇った使用人さんたち。


 使用人さんたちは全員女性。


 そして軽装とはいえメイド服。


 …………。


 僕にどうしろと?


 僕以外全員女性なのだ。


 後ろめたさがパない。


 こんなことなら統夜も誘うんだった。


 遅かりし、だけど。


「ルシール! 冷たくて気持ちいいよ!」


 黛がルシールを海へと引っ張っていく。


「………………あう」


 微笑ましい光景だ。


 少なくとも友情のきらめきを見て取れる。


「に・い・さ・ん?」


 パラソルの日陰にて使用人さんの用意してくれた椅子に座ってノンアルコールカクテルを飲んでいる僕に声がかけられた。


 言うまでもないけど言う。


 華黒である。


「なぁに?」


「日焼け止めを塗ってください」


「昴先輩に頼んだら?」


 嬉々としてやってくれるだろう。


「あんな変態に私の肢体を撫ぜさせろと兄さんは言うのですか!」


「僕に華黒の肢体をどうにかされるのはいいの?」


「当然です」


 ……当然なんだ。


「背中だけだよ?」


「なんならお尻も足も胸も好きにしてくださって構いませんが?」


「それが僕と華黒の最後の言葉だった……」


「何でです!」


 憤慨する華黒。


「日焼け止めを塗るのは背中だけ。譲歩するかどうかはそっち次第だよ。無論のこと撥ねつけてもいいけど結果論で語るなら最善とは言えないね」


「むぅ~」


 むぅ~じゃないって……。


「じゃあ背中に日焼け止めを塗ってください」


 そう言って華黒は砂場にうつ伏せに寝転んだ。


 僕はクリームをたっぷり両手につけると華黒の背中に塗りたくる。


「…………」


 まぁこちらの視界にも色々ありまして……華黒の豊かな胸が押しつぶされて背中の陰から多少なりともはみ出してるのが見えた。


 六根清浄……六根清浄……。


 そして煩悩を押し殺して華黒の背中にクリームを塗り終わる。


 華黒は、後は自分で自身の肢体にクリームを塗りたくる。


「真白くん」


「却下」


「まだ何も言っていないよ?」


「華黒だけが特別なんです」


 声をかけてきた昴先輩をけんもほろろ。


「お兄様」


「却下」


「まだ何も言ってません」


「華黒だけが特別なの」


 声をかけてきた白花ちゃんをけんもほろろ。


「おねーえさーん!」


 海からひらひらと手を振って自己主張する黛。


「一緒に泳ぎましょうよぅ! 黛さんとルシールと一緒に!」


「今行く」


 僕は浮き輪を持って海へと飛び込んだ。


「むぅ」


 昴先輩と白花ちゃんは不機嫌そうに僕を見送った。


 最終的に使用人さんに塗ってもらったらしいけど。


 遠泳をし、ビーチバレーをし、耐水コーティングをしている本を以て浮き輪でプカプカ波に揺られながら読書をし、そうやって僕たちは海水浴を楽しんだ。


 ちなみに一番はしゃいでいたのが昴先輩。


 それはそうだろう。


 花咲きたての乙女たちが水着姿で酒池肉林に海水浴。


 興奮しなければ酒奉寺昴ではない。


 どうやら白花ちゃんは範囲外らしいけどそれを補って余りあるメンツだ。


 ビーチバレーの度に揺れる華黒の胸が……スクール水着という狭い面積にギュウギュウに押し込まれたルシールの胸が……スラリとしたボディラインの黛の体つきが……昴先輩をヘブンへと誘っているらしかった。


「まぁ僕に迷惑をかけなければ好きにしてくれ」


 というのが僕の意見。


 この際誰が昴先輩の毒牙にかかろうが知ったこっちゃない。


 とはいえ絶世とも不世出とも言える容姿を持つ昴先輩に対して今回の乙女たちは一人も魅力を感じていないというのは偶然にしても出来すぎだろう。


 偏に僕が敵視されていないのは僕まで先輩の守備範囲に入っているからに他ならない。


 そうじゃなければジャンヌダルクよろしく火刑に処されているところだ。


「真白くんも女の子の水着を着ればいいのに……」


 残念そうに昴先輩が言う。


 誰が得するんだそれは……。


 僕がそう言うと、


「無論、私が」


 躊躇いもなく先輩。


 さいですか~。


「………………お兄ちゃん……泳ご?」


 ルシールがおずおずとそう提案する。


 勇気を振り絞ったのだろう。


 頬を赤らめていた。


 可愛い可愛い。


「ん。まぁルシールとの夏の思い出も作らないとね」


 僕はポンとルシールの頭に手を乗せる。


 ルシールはさらに真っ赤になるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ