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超妹理論  作者: 揚羽常時
二年生編
150/298

『薫子の懸想文』3


 駆ける。


 こっちに肉薄。


 同時に飛び道具でけん制される。


 対して防御。


 その場に立ち続けた。


 さらに跳躍かつダッシュする敵。


 拳で防御を崩そうとするも中々そういうわけにも。


 着地。


 足払い。


 防御する。


 掴み。


 投げ技だろう。


 その隙をついた。


 コンマ単位の判断だ。


 初動の速いジャブ。


 敵がのけ反る。


 立て続けに畳み掛ける。


 のけ反った相手に距離を縮め、攻撃。


 足払い。


 強めのアッパー。


 敵が宙に浮く。


 追いかける。


 パンチとキックを織り交ぜて空中で敵をボコる。


 最後は必殺技ゲージを消費して大技を決める。


 さて……どこでこれが格ゲーだと気付いた?


 ギャラクシーバトルである。


「ミュラーは弱体化してるなぁ……」


 統夜は不満があったようだった。


 今日はギャラバトのアップデートの日だ。


 それを確かめたいと統夜が僕を連れてゲーセンへと。


 当然リンカーンで。


 お金持ちってのはそれだけで罪だね。


 ともあれ、


「弱体化って言う割にはあっさり勝ってるよね?」


 僕は突っ込んだ。


 事実統夜は勝利を手にしていた。


「WIN」


 とゲームの画面に表れている。


 フレーム単位で状況を判断し、隙をついてコンボを決める。


 言ってしまえばそれだけではあるんだけど……その判断を下せる人間がいったい何人いることやら……。


 ゲームに愛されて生まれてきたのか?


 そうぼやくと、


「姉貴の方が強いぞ?」


 統夜は言うのだった。


「格ゲーで?」


「格ゲーで」


 躊躇いもなく言い切って、


「とはいえ他のゲームでも勝ったことはないなぁ……」


 ありえない追記をぼやくのだった。


 統夜をしてそこまで言わしめる。


 ゲームまで強いなんてどこまで完璧超人なんだ昴先輩は。


 ちなみに華黒もゲームは強いけど興味が無いのだろう……ゲームセンターに立ち入ったことすらない。


「俗です」


 そんな華黒だった。


 僕はゲームが上手い方ではないから統夜に連れられてしか行ったことがない。


 たまにあるのだ。


 統夜が自身を顧みずに僕と遊ぶのを優先するってことが。


 僕なんかに寄り添っても得しないだろうに。


 得だけで動くのは友情じゃないけど。


 そんなわけで友情を噛みしめる僕だった。


 僕と統夜は……主に統夜が、だけど……ちょくちょく喧嘩をふってくる挑戦者を華麗にやり過ごしてラスボスを倒して終わる。


 ちなみにラスボスを倒したのは僕。


 フレーム単位の判断はできないけどコンピュータ相手には負けない。


 それくらいは出来る。


 ……自慢にもならないけどね。


 そんなこんなでギャラバトを終えると僕たちはクレーンゲームのコーナーに用があって顔を出したのだった。


 最近の流行であるところのアニメの……そのマスコットキャラクターたる猫又のデフォルメ人形が安置してあった。


「これ」


 僕は猫又を指す。


「これが欲しい」


「あいあい」


 統夜が首肯する。


 僕が五百円玉を入れると、統夜がクレーンゲームを睨み付けた。


 正確無比に目標を狙いクレーンを動かす統夜。


 一回目は失敗……というより僕の欲しがっている人形を取りやすくするための布石の様なものだ。


 二回目、三回目と人形を取りやすい位置にずらす。


 そして四回目。


 統夜の動かしたクレーンは猫又のデフォルメ人形を掴んで穴に落とした。


 僕はそれを掴むと、


「ありがと統夜!」


 統夜に感謝して猫又の人形を抱きしめる。


「そこまで喜ばれると取った甲斐があったってもんだな」


 統夜は苦笑した。


「うん!」


 僕は頷く。


「これで華黒にお土産ができる!」


「そりゃようござんして」


 ほけっと統夜。


「統夜のおかげだよ……本当にありがとう!」


「別に特別なことをした覚えはないがなぁ……」


 照れたように統夜は頬を掻く。


「それでも……ね?」


 僕はニッコリ笑った。


「お前がモテる理由がなんとなくわかった気がするぜ……」


 どういう意味さ?


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