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超妹理論  作者: 揚羽常時
二年生編
122/298

『真金拘束』2


 リムジンの止まった先は大型の遊技場だった。


 ボウリング、ビリヤード、カラオケ、ゲームセンターが完備されている地元民にはそこそこ有名なスポットらしい。


 僕は初めて来たけど。


 そもそも車で一時間という距離は一介の高校生にとっては途方もないソレだ。


 知らなくて当然だし初めてで当然。


 まぁ近場のゲームセンターには統夜と行ったりするから何の知識も無いというわけじゃないけれど。


 ゲームコーナーは二階だった。


 階段を使って上がる僕と白花ちゃん。


「お兄様」


「何?」


「格ゲーは出来ますか?」


「ぶっちゃけ苦手。技のコマンドくらいなら何とかなるけどフレーム単位の判断とかは夢のまた夢だね」


「人並み程度ということでいいのでしょうか?」


「精々下の中か下の上か……ってところだね」


「まぁいいです」


 何が?


「お兄様、ギャラクシーバトルを一緒しましょう」


 ギャラクシーバトル……一種の格ゲーだ。


 キャラを二人選んで戦闘中に入れ替わりをしながら戦うことの出来る格ゲー。


 格ゲーの得意な統夜と一緒にプレイすることのあるゲームだった。


 故に格ゲーそのものに天性の無い僕だけど経験値はそれなりにある。


 統夜の足を引っ張ってばかりだったけどさ。


 ともあれ、


「いいよ」


 と僕は首肯する。


「白花ちゃんは格ゲー得意なの?」


「まぁ並大抵には負けないよ?」


 ふーん。


 そしてギャラクシーバトルの台に座る僕と白花ちゃん。


 僕たちの台の反対側の台ではノンプレイヤーキャラクター相手にアーケードモードで対戦している人がいた。


 白花ちゃんは迷わず五十円玉を台に投入。


 相手方のプレイ中に乱入した。


「言っとくけど僕本当に弱いよ?」


 遅すぎる忠告だけどしないよりはマシだ。


「大丈夫。たかがゲームだから純粋に楽しめばいいよ」


「わかってるなら他に言うこともないけどね」


 キャラ選択で僕はスールズカリッターを選ぶ。


 白花ちゃんはビュコックだ。


 そして対戦。


「……っ! ……っ!」


 僕は必死にキャラを操作するけど奮戦虚しく相手のライフバーを半分削った時点でやられてしまう。


 そして僕は椅子を白花ちゃんに譲る。


 白花ちゃんのキャラが画面に現れる、


「……っ!」


 と同時に白花ちゃんの指が軽やかに踊った。


 タン、タタタン、タタタンタン。


 超低空の空中ダッシュから牽制の攻撃。


 相手が反撃に出ようとした瞬間、フレーム単位で判断して隙をつく。


 後は圧倒的だった。


 二十七コンボを叩きだし、半分削っていた相手側のキャラを退場に追い込む。


 相手が新たなキャラを出してきたけど白花ちゃんの相手にはならなかった。


 うーん。


 お嬢様と思っていたんだけど……こんなに融通が利くとは。


 ていうか小学生にフォローされる僕っていったい……。


 そんなこんなで主に白花ちゃんの功績でゲームの台を乗っ取ると、今度は僕と白花ちゃんでアーケードモードに突入。


 コンピュータ相手なら僕はそこそこに戦える。


 少なくとも最初のステージくらいなら。


 ラスボスには勝てないけどさ。


 そんなわけで白花ちゃんのフォローもありながら僕は格ゲーを楽しむのだった。


 次に向かった先は音ゲーだ。


 ダンス革命。


 画面に指示された通りにパネルを踏むことで得点を出すゲームである。


 踏むと言った以上、当然ながらパネルは足元に有り……即ちダンスをするように軽快なフットワークが求められる。


 ダンスをした気になる音ゲーだ。


 これは人並みに出来る。


 統夜と一緒に遊んでいる内に慣れたせいもあるだろう。


 少なくとも求められる感覚はフレーム単位の取捨選択じゃない。


 もちろんある程度の勘は必要となるがそれも経験が補ってくれる。


 格ゲーほどシビアなゲームではないから僕にも出来た。


 白花ちゃんがコインを投入する。


 そして軽快な音楽とともに画面に指示が現れる。


 難易度は僕も白花ちゃんもマニアック。


 ノーマルより二つ上の難易度だ。


 それでも僕と白花ちゃんは最後まで踊りきった。


 妙な達成感を覚える。


 業かなこれは。


 それから遊技場のゲームコーナーをくまなく回る僕と白花ちゃん。


 レースゲーム。


 麻雀。


 スロット。


 パチンコ。


 あらゆるゲームにおいて白花ちゃんは卓越した技術を見せた。


 あれよあれよと遊んでいる内に時間だけが無慈悲に消費される。


 めいいっぱい遊んで遊技場を出た時には日が沈んでいた。


 久しぶりにゲームを堪能した。


 背伸びをする僕。


「お兄様」


「なぁに?」


「約束の通りに」


「わかってる」


 白花ちゃんの頭を撫でる。


 それだけのことに嬉しそうな表情をする白花ちゃんだった。


 今日の夕食は白坂家でとることが決まっているのだ。


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