最終話
こんな時間になんで子供が?少し気になるがもう帰らなくては。
公園を後にしてしばらく行ったがやはりあの少年が気になった。戻らなくては。なぜかそういう気持ちに駆られてしまった。
ほどなくして公園に戻るとその少年はまだいた。
何だかほっとしたような気持ちになった。
この子はどこの子だろう?と思い思い切って話し掛けてみた。
「僕、なにしてるの?」
すると少年はかすかな声で囁いている。
なんだろう?それは歌のようだった。
頭のなかに何か引っ掛かる。
思い出した。それはまだ俺が小さい時に好きだった曲だ。
それともに小さい頃の思い出が頭のなかを駆け巡る。
ああ…思い出した。全部。それは夢。
大人になるにしたがって忘れていった夢。
まだ間に合うかな?
なんだろう?俺今前向きになっている。
ふと見ると少年はそこにはいなくなっていた。
空を見上げると星空が綺麗だった。
いつものどんよりとした空はそこにはなかった。俺は上を向いて家へと歩いていった。
家に着いて少し考えた。
夢。それを達成させるには準備が必要だ。幸い俺の手元には必要なものがそろっている。
一通り身の回りを整理して一息つく。まだ迷っている自分がいる。
どうするべきか?ふと両親の声が聞きたくなった。
実家に電話をいれると、父がでた。
「もしもし」
「あ、俺、和之だけど」
「どうした?元気にやってるか?」
他愛もない話を繰り返し電話を切る。
自然と涙が流れてきた。言えなかった。ゴメンの一言が。
それがすごい心残りだった。
父さん、母さんゴメンと心のなかで何度も唱えた。
友達の顔も浮かんだ。泣いてくれるのかな?俺なんかのために。
様々な思いが胸をよぎる。しかし心は決まった。
俺はそれを一気に飲み干し床についた。
しばらくして知覚が麻痺していくのがわかった。
俺はかすかに残った感情のなかで祈った。
夢がかないますように。次は幸せになれますように。それが俺の夢…。
前作で感想くれた方ありがとうございました。今作は中途半端な感じになってしまいましたが、読んでくれたら幸いです。