タイトル未定
「車で30分くらいかかる少し遠いところに美味しい鉄板焼きの店があるんだ。 けっこう高級な店でさあ。」
久しぶりに会った彼はなんだかよそよそしく、他人行儀な振る舞いをしながらそう言った。
「別に、一緒にご飯食べることに意味があって、そんなに良いもの食べに行かなくても。」
「そうだな。」
なんか気まずそうに彼は同調してきた。
なんだろう。
あの頃の親しみ易さはもうなかった。
「じゃ、じゃあどこ行く!?」
「近くのファミレスとか!?」
「本当にそんなところでいいんだな?
もっと上手いもん食わせてやるのになあ~ 。」
そう言って彼は私の方を見て、不思議そうな顔をした。
その時、思いだした。
彼と別れ際に交わした言葉を。