それでも尚侮られる(前編)
AIとの共同執筆です。
「……調査の一環とはいえ、気が進まねぇな」
私は頬に付着した冷たい湿気を感じながら、洞窟の壁を這う正体不明の粘液に視線を落とした。
ギルドから下された指令は、最近この付近で多発している「冒険者の消失」の真相解明。私は現役の冒険者としての腕を買われ、仮のギルド職員という立場で新人のカイルに同行していた。
「先輩、慎重すぎですよ。どうせ野犬か、せいぜいゴブリンの群れでしょ。俺の大剣で一撃っすよ」
カイルは肩に担いだ大剣をガシャリと鳴らし、あどけなさの残る顔で不敵に笑った。
「消失ったって、どうせこの辺の安い酒場か女のところにでも逃げただけなんじゃないっすか? ギルドも大げさなんだよなぁ」
「……だといいんだがな」
私は生返事をしながら、懐の干し肉を一口齧った。
正直に言えば、私の中にも「退屈な仕事だ」という確信に近い思い込みがあった。この洞窟は初心者用の狩場として数え切れないほど踏破されている。新人の教育係を兼ねて、ただ歩いて、何事もなかったと報告書を書く。そんな事務作業のつもりでいたんだ。この時までは。
「終わったら先輩の奢りでエールっすよ。一番高いやつ!」
「ああ、いきてりゃな。」
「縁起でもねぇなぁ! 相手は雑魚モンスターかネズミくらいなもんっしょ?」
カイルは道端の水たまりをブーツの先で小突き、汚いものでも見るような目で笑った。
その緊張感のなさが、どこか心地よくすらあった。私たちは暗闇の中、松明の明かりを頼りに、ピクニックにでも行くような足取りで奥へと進んでいく。
洞窟の奥、天井から滴る水音が止まった。
「――えっ?」




