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GMA  作者: 御田文人
1/3

1st Stage ゴブリンズ

バンダナコミック「縦スクロールマンガ原作大賞 メカ・ロボット編」応募作品

 2万人の観客に見守らながら男が入場すると、大型スクリーンに彼のステータスが表示された。


 名前:シガキ

 身長:177cm

 体重:97kg

 ベンチプレス:200kg

 スクワット:230kg

 デッドリフト:320kg

 握力:73kg

 垂直跳び:65cm

 50m走:6秒87


 大歓声に包まれながら、男は審判から渡されたフルフェイスのヘルメットを被る。全身は既に白い樹脂製の甲冑(ギミックスーツ)を装着していた。

 ヘルメットの装着と連動し、全身数か所に埋め込まれた青い起動ランプが点灯する。そして『システムに接続しました』と確認メッセージが流れた。それを確認した後、審判のアンドロイドが声をかける。

「武器は?」

 このやりとりはマイクで拾われ観客にも聞こえるようになっている。

「いらない」

 シガキは答えた。その瞬間、会場は大歓声に包まれる。武器の使用が一般的なこの闘技において、格闘術はめずらしいからだ。


 シガキの準備が終わると、会場が暗転する。

 そして、大型スクリーンに『1st ステージ』と表示された。続いてシガキの対戦相手のステータスが表示される。


 名前:ゴブリン

 身長:148cm

 体重:42kg

 ベンチプレス:38kg

 スクワット:50kg

 デッドリフト:60kg

 握力:31kg

 垂直跳び:53cm

 50m走:8秒53


 その後に『×3』と表示された。

 それと同時に反対のゲートが空き、凶悪な顔をしたゴブリン型のアンドロイドが3体現れる。手にはそれぞれ短剣型の武器を持っていた。


「Fight!」

 掛け声と同時に3体はシガキを遠巻きに囲むように移動する。


(まず、コイツらは圧倒する)

 囲まれているのも構わず、シガキは悠々と目の前の一人に歩みよった。


「ホキョアアアア!」

 ゴブリン達は一瞬躊躇したものの、目の前の1体が声を上げて威嚇した。

 そのスキに1体が背後から襲い掛かる。

 意外にも連携が出来ている。しかし、これはシガキの想定通り。

 振り向きざまにサイドキックを放ち、1体は吹き飛ばされた。


「KO!」

 審判が片手を上げて宣言すると同時に、スクリーンにもその旨が表示された。

 沸き上がる観客。しかし、シガキは意にも介さず振り向いて最初のターゲットに歩み寄る。今度は警戒しているのか奇襲が来ない。

 目の前まで歩み寄ると、シガキはゆっくりと振りかぶった。

 見るからに分かる手刀打ちの動作。


「あんな大振り当たるわけがない!」

「無防備すぎる!」

 そんな観客の批判をよそに、シガキの手刀がゴブリンの脳天を捉える。衝撃でゴブリンの首がボロリと落ちた。


「KO!」

 沸き上がる観客。

「なんで当たるんだよ!よけろよ!やらせか?!」

「いや、わざと相手に動きを読ませて、微妙にそのタイミングを外した。高等技術だよ!」

「誰だ?あのオッサン?」

「プロレスラーらしい」

「プロレス?今どき?」

 観客たちはパンフレットや通信端末からシガキの情報を集め始めた。


(いいねぇ。最後はハデに!)


 シガキは残ったゴブリンに『来い!』と大袈裟に挑発した。

 しかし警戒して近づかないゴブリン。彼らの思考パターンはAIだが、実際の人や野生動物の思考をモデルにしている。

 だから「警戒する」「恐れる」という感情が存在するのだ。


「うぉおおおお!」

 来ないならばと走り寄るシガキ。逃げるゴブリン。

「オッサン、ゴツいのに足速ぇ!」

 沸き上がる観客。

 シガキはゴブリンに追いつき、軽々と持ち上げるとボディスラムで叩きつけた。

 衝撃でゴブリンの頭、手足がバラバラになる。彼らは相応の負荷がかかると壊れるように出来ている。これは修理・メンテナスのしやすさからの理由だが、演出上の意図もある。


「すげぇ威力!砕け散った!」

「いいぞー!プロレス!」

 インパクトのあるフィニッシュに、否が応でも場内は沸き上がった。


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