8 クリスマスイブ 未来図
麻子と真司。社会人1年生のクリスマスイブ、とあるレストランで。
真司「待った?」
麻子「今、来たとこ」
予約していたクリスマスディナーが運ばれる。
麻子「イブにも調査の依頼があったの?」
真司は探偵事務所で勤めている。
真司「いんや、ない。所長に頼まれて、事務所の掃除をしていた。現実はホームズさんのようにはいかないよ」
麻子「そうなの。でも、わたしも似たようなもの。今日は子どもたちのロッカーのふき掃除をしていたわ。社会人1年生ってそんなものよね」
麻子は保育士になり保育園で働いている。
真司「掃除と言えば、ベーカー街221Bで、麻子と2人で掃除したことを思い出すな。窓ガラスをふいたら、ヤニでぞうきんが茶色になったな。俺の探偵事務所も似たようなもん」
麻子「そういえば、そういうこともあったわね。本当のホームズさんに会えたなんて、今からなら、とても考えられない」
真司「でも、夢じゃなかったんだぜ」
麻子「そうね。でも、わたしたち2人とも夢を叶えたね。就きたい仕事に就けた。真司は探偵、私は保育士」
真司「現実は冴えないけどな」
麻子「まだまだ、これからよ」
真司「来年は俺たち、どうなっているんだろうな?」
麻子「わからない。でも、来年のクリスマスイブもこうして、真司と一緒にいたい」
真司ね顔が暖房のせいではなく、すごく火照ってきた。
2人はこのまま、たわいもないことをいろいろ話ながら、クリスマスイブを過ごした。