3 七夕の夜
学校帰りのバスの中。
麻子「テストも終わったから、今夜、織り姫と彦星を見たいな」
真司(そう言うと思った)
午後8時 桜広場に差しかかったところ。
麻子「こんなに明るいんじゃ、星なんて見えない。わたし、夜は外出しないから…こんなに明るいなんて」
桜広場の高さ80㎝くらいの外灯が明々と照っていた。
真司「俺は知っていたぜ。夜も自転車乗るから。でも、大丈夫」
そういうと真司はズボンのポケットから、何やら取り出した。
麻子「わあ、かわいい!まっ黒クロスケのカラフルバージョン!!」
真司「言うと思ったよ。こういう時のために買っておいた。このボタンを押すと…お前もこのボタン押してみろ」
2人がボタンを同時に押すと、まっ黒クロスケがそれぞれ、水色とピンク色能力光を眩しく放った。
麻子「うわぁ~、かわいい!」
真司「織り姫と彦星…の代わり」
麻子「でも、いつの間に?」
真司「短冊を書いたあと、麻子は本屋でじっと本を見ていただろう。その間に100均で買った」
麻子は何ともいえない温かい気持ちになり、
真司はそんな麻子の顔が見られて、
とても嬉しいとしみじみ思った。
水色とピンク色の光が、2人をいつまでも照らしていた。