【教祖への道】子作り
Xが上野駅前で声をかけた女性、上野スミコは寡婦だった。
夫は二年前に南方で戦死している。
田舎に引っ込んで、親が用意した相手と再婚する道もあったが、彼女は夫が残してくれた日暮里の小さな平屋に止まり、タイプの腕を生かして生計を立てていた。
近所の人々は、亡き夫に操を立てる軍国夫人の鏡だと誉めそやし、じっさいスミコは仏壇の遺影にお供えをかかしたことはなかった。
その遺影の前で、スミコはXに後ろから突かれ、乱れに乱れていた。
まだ日も上りきらない時間である。しかも、Xは昨晩にも三回も彼女の中に精を放っているというのに、なんら疲れを見せず、スミコのたっぷりとした尻に、自分の腰を打ちつけていた。
スミコは隣近所に聞かれまいと必死に声を抑えている。はじめのうちはどうにか堪えられるのだが、Xの巨大なものが出入りするうちに、どうにも声が出てしまう。彼女は布団のなかに頭をつっこみ、くぐもった叫びを上げる。
Xから見れば、肉感的な下半身だけが布団から出ている形だ。彼は「眼福、眼福」とつぶやくと、いっそう激しく、スミコの奥へ奥へと抽送を開始した。
スミコは布団の中にあってさえ、結合部からびちゃびちゃと破廉恥極まりない音がするのが聞こえていた。Xとの行為は、夫とのそれとあまりにも異なっていた。Xのモノが身体の奥に届くたびに、己の身体の奥から強烈な快感が絞り出される。快楽は彼女を嵐のように翻弄し、高みは高みへと押し上げていく。次第に彼女は何も考えられなくなり、ただ喉から声をあげるだけのモノになる。
するとXも布団の中に頭をつっこみ、彼女の上半身を抱きしめる。そうして耳元で「感じなさい。これが無だ。観音様があなたを無意識の境地へ導いているのだ」とささやく。
Xの声はスミコの鼓膜をふるわせはするが、意識のない彼女はすぐには理解できない。ただ、言葉は彼女の意識と無意識のはざまに刻まれる。
Xはひときわ深く刺し入れると、盛大に精を放った。
スミコが、ぐわぁ、とカエルのような声をあげて全身を震わせた。陰部が収縮し、Xの精を貪欲に取り込もうとする。
Xが身体を離すと、穴からドロリと白濁液が溢れ出した。穴はスミコとは別の生き物のように、閉じたり開いたりしている。
Xは心のなかでいった。
〝しかし、観音様。中で出していいとのことですけど、こんなことをしてたら、いずれは子どもができるんじゃあないですか?〟
〝それでよいのです〟観音がXだけに聞こえる声で答える。〝わたしの目的はひとりでも多くの悩める子羊たちを救うことです。そのためには悟りへの導き手を増やす必要があります。あなたには悟りの才がある。そんなあなたの子どもたちは、あなたの才を受け継ぎ、すばらしい導き手になるでしょう〟
〝わしの子ども? そりゃまたずいぶん気の長い計画だ〟
〝わたしは待つことにかけては自信がありますから〟
〝とはいっても、観音様はわしだ。待てるのはわしが死ぬまででしょう。まだいもしない子どもに頼らずとも、わしが性交法でどんどん女たちを悟りに近づけますわい〟




