最終話:最強の師弟
「ロジェさーん、リリアントさーん! 国を守ってくれてありがとうー!」
「おかげで命と生活が守られました!」
「ずっとこの国にいてください!」
眼下にはたくさんの国民や衛兵たちが集まり、手を振っていた。
恥ずかしい気持ちで手を振り返す。
俺たちは今、王宮のバルコニーに立っていた。
カイザラ-ド帝国の国防魔道具の暴走を防ぎ、国を守った功績を称える表彰式が開かれているのだ。
ジークが現れると、観衆たちのボルテージは一段と上がる。
「私からも改めてお礼を言わせてもらう。ロジェ、リリアント嬢。この度は本当にありがとう」
「こちらこそ、このような表彰式を開いていただきありがとうございます」
「なに、それくらいは当然さ。……さあ、トロフィーの授与といこう」
使用人が金ぴかのトロフィーを持ってきた。
天使みたいな美しい像。
古来、国を救った英雄に渡されてきた物だ。
ジークは天高く掲げると、場内は少しずつ静かになる。
「今ここに、ロジェ殿とリリアント嬢をドルガ王国の救世主と認める!」
張り裂けんばかりの歓声が沸き起こり、ジークはトロフィーを渡してきた。
だが、俺なんかが受け取ってしまっていいのだろうか。
「リリアントが受け取りなよ」
「いえ、ロジェ師匠が受け取ってください。私がここまで成長できたのはロジェ師匠のおかげなのですから」
「……そうか」
一度は断ったが、結局俺が受け取ることにした。
せっかくだから持たせてもらおう。
いくつになっても、人に褒められるのは素直に嬉しいな。
「二人は、まさしく最強の師弟だな」
大歓声に包まれる城内。
ふと、隣のリリアントを見ると、控えめに笑ってくれた。
彼女のために始めた旅だったが、いつしか俺も楽しんでいたな。
トロフィーを抱き上げ、歓声に応える。
俺たちの旅はこれからも続くんだ……。
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