第37話:王立図書館と古代魔法と古代魔獣
「ロジェ、リリアント。ここがドルガ図書館の“禁じられた棚”だ」
カイザラ-ド帝国の国防魔道具暴走事件が収束してから数日後。
俺とリリアントはジークに頼み、ドルガ図書館に案内してもらった。
天井は届かないほど高く、書物の収まった棚が数え切れないほど設置されている。
さすがは国内一の図書館。
蔵書量は計り知れない。
巨大な図書館の一番奥の部屋に、“禁じられた棚”はあった。
「古の時代に関する書物は、全てこの部屋に収められている。古代魔獣や古代魔法に関する情報も豊富なはずだ」
「世話を書けたな、ジーク」
「私も一緒に調べたいのだが、あいにくと立て込んでいるんだ。またの機会としてほしい。ロジェ、君たちが読んだ本を後で教えてくれ」
そう言うと、ジークは部屋から出て行った。
国民への説明や、カイザラ-ド帝国との後処理が大変らしい。
「さて、さっそく調べるとするか」
「手分けして探した方が効率よさそうですね。私は右の棚を探します」
「じゃあ、俺は左側だな」
左右に分かれて本を探す。
室内は図書館の広さに比べると狭いものの、縦横10mはありそうな広さだった。
収められている本は、最低でも二百冊はあるだろう。
タイトルや目次などから古代魔獣、古代魔法が書かれていそうな本を探す。
両手で持てないくらい集めてから、中央のテーブルに戻ってきた。
ちょうどリリアントも同じタイミングでやってくる。
彼女は俺の何倍もの本を重ねて持っていた。
「リ、リリアントは結構力持ちなんだね」
「いえ、魔法で軽くしてありますので。ロジェ師匠も魔法を使えばよかったのでは……?」
「たしかに」
また魔法使いの自覚を忘れていた。
……これはいかんな。
こういうところで老化が少しずつ始まっているような気がする。
もっとしっかりせねば……と決意を固め、分厚い本を開いた。
選んだ本は、“大錬金術師アキラとその時代”というタイトルだ。
紙は茶色く汚れ本の表面も古くなっていることから、かなりの年代物だとわかる。
リリアントも興味深そうに覗き込んでいた。
「これだけ古いと期待できますね」
「ああ、そうだな……おっ、ここに書いてある内容は重要そうじゃないか?」
しばらくめくると、古の時代について記述されたページが現れた。
内容を簡単にまとめると……
・古の時代、魔族の侵略により人類が滅びそうになったとき、異界から二人の人間が来訪した。
・来訪者たちは見たこともない魔道具を駆使し、魔族を撃退
・世の中に平和が戻ったのも束の間、来訪者の一人が獣に異変を施し、人を襲わせるようになった
・来訪者同士は平和を巡り、激しい戦闘を行う
・三日三晩魔道具の応酬が続き、大爆発の後戦闘は終息
・異変が生じた獣も消滅したものの、来訪者たちの死体は出てこなかった
・来訪者のうち、アキラという名前は残ったが、もう一人に関する情報は完全に消え去ってしまった
「「……」」
本の内容は、古の時代における戦闘の様子を伝えていた。
読む限り、異世界から来たとされる来訪者たちがキーマンのようだ。
古代魔法で転送される魔道具はアキラが作ったのだろうか……それとも、もう一つの来訪者が……。
古代魔獣は当時の個体が復活したとか……?
「ロジェ師匠、そろそろ王宮の方に戻りますか? 表彰式の時間が迫っています」
「……え? もう、そんな時間か。ちょっと集中し過ぎてしまったな」
リリアントに言われ、現実に戻ってきた。
時計を見るとだいぶ時間が進んでいる。
丁重に断ったのだが、ジークから国を救った英雄として表彰したいと言われたのだ。
「また後で調査を続行しましょう」
「ああ、そうだな。まずは入念な下調べだ」
古代魔獣や古代魔法に関する謎は深まるばかりだ。
これからの旅で解き明かすことを決意し、そっと本を棚に戻した。
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