第11話:また新たな旅路へ
「ロジェさん、リリアントさん。本当にありがとうございました。お二人のおかげでギルドの問題も解決されましたし、街の安全も保たれました」
「こちらこそ色々とありがとう。久しぶりにサラさんと再会できて楽しかったよ」
「私も昔を思い出し、当時の楽しい日々を思い出すことができました」
ギルドのロビーで、俺とリリアントはサラさんと握手を交わす。
周りには他の冒険者や受付嬢たちもいる。
宴は楽しい時間だったが、少々胃もたれがきつかった。
「ハンバーストーン様たちは、これからもギルドを支援してくださるそうです。ラウドボイさんも冒険者としてやり直させると言っていました」
「成長が楽しみだね。立派な魔法使いになってくれると嬉しいな」
「まずは人格の矯正からですね。更生を期待しましょう」
ラウドボイ君は抜け殻のようになった後、ハンバーストーンさんたちに回収されていった。
お父さんとお母さんの元、一から性根を叩き直すそうだ。
まぁ、彼もまだ若い。
どうやら魔法使いになりたかったようだし、成長して一皮剥けたところを見たいな。
「じゃあ、俺たちはそろそろ行くね。サラさん、再会できて本当に良かった」
「お身体に気をつけてください。ギルドマスターなんて責任の重い仕事でしょうから」
「ロジェさんもリリアントさんもお元気で。また遊びに来てくださいね」
サラさんと別れ、俺たちはギルドから出る。
建物から出た後も、みんなはずっと手を振ってくれていた。
「ロジェさーん! リリアントさーん! ありがとうございましたー! おかげで安心して暮らせます!」
「街の安全は俺たちに任せてください!」
「またいつか会いましょうね!」
ギルドの面々に見送られ、俺たちはパリムスを去る。
道を行く足取りは軽かった。
「なぁ、リリアントよ」
「はい、何でしょうか?」
道を下って街が見えなくなってから、リリアントに話す。
とあることを聞きたかったのだ。
しばし聞こうか聞かまいか迷っていたが、意を決して尋ねた。
「この旅は……楽しいかな」
森を出てからずっと気になっていた。
俺たちの旅は、本当に昔の道順を辿っているだけだ。
それこそ冒険者の旅のように。
ゴブリンやドラゴンの討伐なんかより、うまいものを食べたり、キレイな景色を見た方がいいんじゃないだろうか……。
リリアントの提案したことだが、彼女のためになっているのかどうしても不安になってしまっていた。
尋ねた後もリリアントは何も言わず、ポカンと俺を見ている。
その顔を見ていると、急激に自分の後悔の念が湧いてきた。
楽しいかな……ってなんだ。
追い詰められているような気分になるじゃないか。
リリアントは傷ついているんだぞ。
「す、すまんっ! 野暮なことを聞いたな! 忘れてくれ! ほんと申し訳ない! 俺はどうして気の利いたことが言えないんだ!」
「私は……」
己のコミ障っぷりを嘆いていると、リリアントがポツリと言った。
すぐさま口を閉じ、緊張して続きの言葉を待つ。
「楽しいですよ。とても」
彼女の笑顔と、その一言だけで十分だった。
俺たちはまた新たな旅(と言っても、昔に旅した道だが)へと向かう。
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