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タラッサの歌姫―巫女ですが偽装結婚しました―  作者: ムツキ
終 章・ウソから出たマコト
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2・赤い熱


 ミルティアデス前では(こら)えたニアだったが、部屋を出るとすぐに思っていたことを口にした。


「あたしの嘘託宣、当たったねー。ほぼ、全部」

「……信じん。第一、真意と別だったろう」


 言いながらもキリルとて、本当に否定したいわけではなさそうだ。それがニアにも伝わって微笑む。


「でも当たったもん勝ちだよ。嘘でもこうなると立派なもんでしょー」

「うるさい狂信者……。それより、だ。……さっさとオデラに戻って結婚するぞ」

「……はあ?」


 ニアは驚きのあまりキリルを見る。彼は人の悪い笑みを浮かべて応じた。


「船を壊した代金、お前の衣食住に使った金、怪音波を聞かせた慰謝料、お前を(かば)って付いた傷の代金、どうやって支払う気だ? もちろん嘘については相殺(そうさい)しておいてやる。見ようによっては……当たってなくもない」


 軽い口調ながら、冗談めいた雰囲気はない。

 口を開けたまま固まっている彼女に、彼は肩を竦める。


「嘘も真実にすれば問題ないと言ったのはお前だろ」

「そ、……そんなこと、言ってないっ」


 ニアに取ってみれば、あれらは全て好意から出た産物だと思っていたのだ。キリルとの間には友情にも似た『何か』が(はぐく)まれたと感じていた。


「こ、好意じゃ……」

「馬鹿かっ、好意で腹が(ふく)れるかっ。お前自身で支払えるんだ、安いと思え」

「あたし自身っっ?」

「我ながら嘘付き巫女を妻になどと、待遇良すぎだろう。俺が見ているうちは、そうそう神の御許(みもと)に旅立てると思うなよ」

「な……っ!」


 死を覚悟しての参戦を引き()っているのだと分かり、二の句が継げない。それでも言い返そうと言葉を探すも、彼は背を向け歩き出す。

 不服顔でニアは後を追った。

 追いつく手前で、キリルが小さく呟く。


「安心しろ、……好意もある」


 拾った言葉は予想以上の衝撃だった。

 頭を殴られたってこれほどの衝撃はないだろうと思うと同時に、じわじわと言葉の意味が心へと浸透していく。

 体中の熱がどこからきているのか分からない。

 歩き出した彼を追いかけ、こっそり見上げれば見つけてしまった――彼の耳が赤い事を。


 ニアは声を掛けることがもったいなく感じられて、微笑む。長い回廊に感謝しながら彼の後ろを歩いていった。


第一部完結です~~!


読んでくださってありがとうございます。

ブクマ・★評価、最高に嬉しいです♪


大好きな話なので楽しんで頂けたら嬉しいな~って思いながら、また第二部は折りを見てUPります!


「面白かった!」

「今後の展開は?」

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