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タラッサの歌姫―巫女ですが偽装結婚しました―  作者: ムツキ
終 章・ウソから出たマコト
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1・同盟関係


 テルマに戻って以来、三日が経つ。

 ミルティアデスは現在ベッドの人となっている。

 ニアは知らなかったが、あの戦いのさなかネロに刺されたのだという話だった。なぜかとニアはネロに聞いた。友人だと思っていただけに裏切られた気分にさえなっていた。

 それに対してのネロの言葉は簡単だった。


「アレは託宣の結果ですヨ?」

「は?」

「僕、月に一度は託宣してもらってるんです。バシレイオス神殿にーですよ? 殺し屋って(はかな)い商売ですから、かなり占いとかって信じる人多いんです」

「そ、そうなの?」


 意外すぎる言葉にニアは呆然としたものだ。

 更に彼は言った。


「託宣って人に話すと効力薄れるって言うから話しませんケド、僕だって苦肉の策でした。だってスキアーって生きてる者に無差別攻撃でしたから。でも死骸(しがい)には興味ないみたいでしたしー、それで仮死状態に落ちてもらったんですぅ」


 主を刺して尚、笑える感性を持つ彼はニアの理解を越えている。苦肉の策にしても酷すぎると思うも口には出さない。

 結果あの時は無事だったミルティアデスだが、陸に戻った頃には体中が悲鳴を上げ寝込んでしまったのだ。


「まぁ、仮死状態から脱してすぐあんなに動き回ったんですから、仕方ないですよネ。アハハ」


 ニアはもう何も言わなかった。

 ミルティアデスが戦いを終えた後も忙しく立ち働いたことを知っている。

 対等同盟のために中立地帯でもある海の上に代表を招き、テルマとオデラとの対等同盟を正式に締結、中立国として海底王国とも条約も締結。

 だが流石はミルティアデスとでも言うべきか、ベッドの上でも執務を行っている。

 ニアは昼過ぎに、暖かな陽射しの降り注ぐ彼の寝室にキリル共々呼び出された。


「ニア、まずは礼を言おう。航路確保に尽力した礼としてバシレイオス神殿の完全自治を約束しよう」

「ど、どーも……」


 明らかに征服した後の話をするミルティアデス。

 久しぶりに見る彼はとても元気で、ニアは拍子抜けしていた。また内心では、あんな目にあってもまだ戦争を止めない気らしい姿に呆れてもいる。


「まぁ、何と言っても……同盟国となったポリス・オデラの次期国母がいたのだからな」


 ニヤリと笑う彼にニアは曖昧な返事を返す。


「え……あ、はぁ……」

「バシレイオスの自治、オデラとの直接交渉について話せる人間を誰か呼んで来い」

「は? 呼んで? え? あたしが?」


 ニアにとっては雲の上のような話に思え、首を傾げる。

 キリルはすぐに反応した。


「了解した。明日にも船を出そう」



読んでくださってありがとうございます。

【次話公開 → 23:20 予告】

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