5-6・協定
「い、今の話って聞こえてたよね?」
ゼノはなんとか口を開く。だがミルティアデスは頷いただけで先を進めた。
「あぁ。それで方法はないのか。邪魔で仕方ない」
「……邪魔ねぇ」
「あぁ邪魔だ。俺はミナスを統一するつもりだ。その上であんな物に時折でも、出てこられちゃ迷惑以外の何物でもないな」
「……狂ってるね、地上の王は。だけど、悪くないね。僕もそれは思ってた」
「お、お兄ちゃんっ!」
慌てて、ニアは制止の声をあげる。
「時を逸した神には消えて貰いたいけど、その力は僕にないね。眠らせるのが精々さ」
いつの間にか二人で神を殺す話になっていることに心の中で悲鳴をあげる。頼みの綱であるキリルを見る。
縋るようにその腕を引っ張れば、相手は首を傾げた。大した違和感を持っていないらしい。
(ダメ……ここの不信心率、めちゃくちゃ高いっっ!)
「嘆きの地は分かり易いのか?」
「うん。赤いからね」
「そりゃいい」
キリルが一歩踏み出し口を挟む。
「武器と船なら我がオデラが請け負ってもいい」
「き、キリルっ? 何言いだすのよっ」
ミルティアデスはキリルの提案を面白そうに見る。
「このまま捕虜になり続ける気はない。こんな奇特な話を聞いて信じる者はいないだろう。神かどうかは別にして、俺は見た。我がオデラを同盟者として対等に扱うなら、ミルティアデス殿、あなたの覇業に協力してもいい。全く益のない話でもないからな」
ニアは話の展開に付いていけず、一人口をポカンを開けて固まってしまった。キリルはミルティアデスに手を差しだす。
「……面白いっ。自分で捕虜と言う癖に、売り込んでくる神経が気に入ったっ」
ミルティアデスは勢いよく立ち上がるとその手を取って握手をする。
なぜかゼノも二人の手の上に掌を乗せている。
「まぁ、うちの妹をダシに使ったのは気に入らないけど、僕も実利を取りたいしね」
(な、なんなの……なんだっていうの? これ……っ)
ニアが海に吊るされ溺死させられかけたことすらも、身勝手な男たちは忘却の彼方に追いやってしまっている。
後ろからネロの呑気な声がする。
「いやぁ、仲良きことは美しいですねぇ。三人ともイイ性格してらっしゃるようで」
ニアは頬を引き釣らせる。
(そ、そう言えばっ! ここにいる三人とも実利、大大大好き人間だった!)
三人の性格を思い愕然とする。
(そりゃ気も合うでしょうねっっ)
ここに常識人はいない。
彼女は痛感した事実に天を仰ぐ。天窓から覗く空には星が瞬いていた。
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【次話公開 → 本日 18:50 予定】
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