4-4・企みの王様
ミルティアデスは船室の天窓から見える空を見ていた。椅子を机に寄りかからせて、天井に広がる青い空をただ見つめている。
空を見ながら、彼の心は遠い過去へと飛んでいた。
ミルティアデスが産まれた時、角の生えた頭部を見た母は彼を悪魔の子として火に投げ込もうとしたという。乳母が止めなければ火あぶりで死んでいただろう。
やがて母は完全に精神を病み、父を殺して自害した。
母は弱いから死んだのだと思った。父は愚かだから死んだのだと思った。
その時、ミルティアデスは誓った。バシレイオスのように、人間でありながら神のような絶対的存在になるのだと。
ミルティアデスは顔も覚えていない母を想う。
角があり、両目の色が違うミルティアデスは所詮人間でしかない。戦争を起こしたところで神の声は遠く、罰されたとしてもその瞬間、神の罰だと読みとることも難しい。それは同時に救われたとしても同じことだ。
子供のまま大人になった心を抱えて、戦争に明け暮れている。結局、己の抱えたジレンマを発散するために戦っているのだろうと思う。
ニアのような存在を見れば、結局のところ自分は人間の範疇にしか収まらないのだと分かる。
そしてあの巨人――あれを見れば、己が如何に無謀で無益なことをしているかを突きつけられた気分だった。
「結局、どーなさるんですぅ?」
ネロが入ってくるなり、聞いてくる。ミルティアデスはそのままの姿勢で答える。
「そうだな、白い巨人のことは何も知らんようだし、消えて貰っても何ら困らん」
「じゃ、そうします?」
ミルティアデスは笑った。
「だとしたら、そう命令を下している」
ネロは一礼して部屋を出ていこうとした。
ミルティアデスは彼を呼び止めると、一つの指令を下す。
「ネロ、奴らを有効に活用しろ」
「……はぁ……。そういうの一番苦手です、自分で考えて動くのって」
「だろうな。……最近、俺の領地で不審死が続いてたな?」
「あー、なんかありましたね。ポリス近郊の農村が消失していたっとか。もともと侵略した土地のことですし、反逆者の行動だと思って気にしてませんでしたケド」
「あぁ。思ってたな。……あの死体はどこに行ったんだ?」
ミルティアデスは頷く。二人は同じ結論に至っている。
あの血のような海にあった数々の遺骸。あれらが引っかかっている。
あの巨人か巨人に連なる何かがしたのだとしたら――と。
「有効に使え」
ネロはニッコリ笑って、一礼する。彼にも、もうニアたちの使い道の意図が分かっていた。
ミルティアデスはまた思索に耽る。
ニアのあの音を使えば、巨人を無力化できる。何より、あの力なら敵を麻痺させ、無血占領も可能なのだ。
(ただ……あの娘が言うことを聞くかは別だな)
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【次話公開 → 本日 23:40 予告】
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