3-4・利用価値
甲板にあがるとミルティアデスが、立っていた。
「生きる上で必要なものはあるか?」
脈絡なく問われた言葉に、ニアは首をかしげる。
ニアの不審げな眼差しに気付いたのか、ミルティアデスは肩を竦めた。
「死なれちゃ堪らん」
ニアは目を見開く。
どうやら自分の心配をしているようだと知り、すぐには言葉が出てこなかった。
(噂で聞いたのとずいぶん違うかも……いい人っぽい?)
「えっと……さっき分かったんだけど、海に入らないと熱出る体質みたいで、だからできたら一日一回、海に触れさせて……欲しいです」
キリルに肘でコツンと腕をやられて最後に最低限の礼儀を守る。ミルティアデスは大して気に止めた風もなく、頷いた。
「許可しよう。ネロの話では普通の食事を取っていたようだが、生の方がいいのか?」
「え? 何? あたし、人間なんですけどっ」
「あぁ、当然だろう」
ニアは首を傾げる。何やらやはり会話がかみ合ってないように感じるのだ。
「俺は有角の光彩異色だ。今更、人を異質扱いはしない。そして俺の部下なのだから、それなりの扱いはしてやるつもりだ。病に冒され医療品を消耗されるぐらいなら、最初から健康管理くらいは組み込むさ」
何でもないことのように言うミルティアデスに、ニアは満面の笑みを浮かべた。
「嬉しいっ! じゃ海に入ってもいいの? 毎日?」
(ヤな奴って思ってたけど、すごくいい人っ)
キリルが側で嘆息づくのも気にせず、顔を輝かせる。
更に、ミルティアデスは逃げる機会があったにも関わらず戻ってきたことを高く評価して、二人ともにネロ同伴なら自由に動いていいと許可をくれたのだ。
二人が船室に消えていくのを見ながら、ミルティアデスは上機嫌だった。
何より素晴らしいと思えることは、あの娘の存在だった。彼女の存在は戦争の概念を根底から覆すことができるほどに大きなものだと、ミルティアデスは確信している。
水平線を見ながら、構想に耽る。
「よほど嬉しいんですねぇ。そんなにあの娘、面白いです? 僕は気味が悪いですケド」
気配さえ感じさせずに立つネロに、彼は視線さえ向けなかった。
「口を慎め、ネロ。あの娘は貴重な存在だ」
「海底生物でも戦争に借り出そうって言うんですかぁ? ま、僕は戦争屋じゃないんで、関係ありませんケド」
「死なれても逃げられてもつまらん。もっと注意しておけ。言うなれば保護監視だ」
ネロは優雅に一礼する。ミルティアデスはまた思索に耽った。
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【次話公開 → 本日 15:35 予定】
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