2-6・暗殺部門系護衛
扉が開いた時、ニアたちは眠っていた。
ミルティアデスが出ていってからすでに六時間が経過している。
「おやぁ、新婚早々別居状態ですかぁ?」
キリルは脳天気な声に飛び起きて腰の剣に手を伸ばし、丸腰であることを思い出した。
「誰だっ」
室内に立つ男はミルティアデスとそう変わらない年頃で、灰色のボサボサ頭にくすんだ青の垂れ目をしている。
「あ、ども。奥さんも起きて貰っていいですか?」
不審な男の出現に、それでもすぐにキリルはニアの側に近寄り、体を揺さぶって起こした。なかなか起きないため、頬をペチペチとひっぱたいてやっと彼女は起きた。
「んー……」
まだ寝ぼけ状態のニアは見知らぬ人物がいることに気付いて目をパチリと開けた。
「誰?」
「ネロです。ミルティアデス様の側近で、暗殺専門の護衛ですぅ」
「は?」
ニアとキリルは同時に声を上げていた。相手は優しげな微笑を浮かべている。
「あ、職務が分かり辛いですか? ご説明しましょー。実は僕は元々暗殺専門の営利団体に所属してたんです。で、色々あって、あ、ほら、老後が心配でしょう? とにかく今はその経験を生かして、どこからミルティアデス様を殺すか研究をしてます」
「そ、ソレって……仕事になるの?」
ニアに問われてキリルは即答した。
「ならん」
「え、ミルティアデスって人、被虐趣味でもあるの?」
「元巫女がそんな言葉を使うな」
ボソリと言うキリルにニアが顔を顰める。ネロはヒソヒソと話す二人を無視して、更に説明する。
「あーつまりですねぇ、どこから殺すかを僕が検証して、ミルティアデス様の暗殺阻止にお役立てーっというわけです、ハイ」
「……へ、へぇ……そうなんですかー……」
ニアは言葉が上滑りしていくのを意識しながらも、相づちを打つ。
「そ、ソレで……暗殺部門系護衛の方がどーしてココに……」
「あ、はい。あなた方の監視を頼まれまして。当分、ご一緒させていただきますぅ。ほら、正体の分からない人間が側にいるのって嫌でしょう? あ、勿論、お二人のお邪魔は致しませんよ」
(知らない方がよかった……っ)
ニアは内心叫ぶ。キリルも同じ感想らしく、不機嫌そうに眉を顰めている。
「何かご質問があればどーぞ。お答えしますよ?」
「え? えー……っと、これからあたし、……と夫たち、どーなるんですか?」
「さぁ?」
落ちる沈黙。ニアは勇気を振り絞って更に尋ねる。
「あたし、と……夫、いつまでココにいるんですか?」
「さぁ?」
「……」
落ちる沈黙。
(なんなのよーっっ、全然答えてくれないじゃない!)
「他に何かあれば、どーぞ言ってください」
「じゃ、とっても強いんですねっ」
ヤケになったニアの言葉に男は極上の笑みを浮かべて答えた。
「はい。僕の勝率は十人中十人なので、ぜひ逃げないことをお薦めします。死体になるにはお二人ともまだ若いですから」
「……っっ」
(それはどーもご親切にっ、とでも言えばいいのっ?)
泣きたい気分でニアは床に倒れ込んだ。
(もう寝よう……こんな変な人、見たことないっ)
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【次話更新 → 本日 AM 11:25 予定】
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