何この人
「……なんだ、これ」
陽人が不思議そうに右手を閉じたり開いたりする。
VITでの戦闘が終わった直後、目を覚ますまでの間。一体何があったのだろうか…?
千里と周夜に起こされた直後から、何か引っ掛かりがずっと残っている。
ずっと考えていると、エレベーターが開く音が聞こえる。
「やあ、お疲れ様」
「し、志度先生!?」
そこにいたのは、満面の笑みを浮かべて手を振っている志度だった。
「どうしてここにいるんですか!てか、ステージに行かなくて良いんですか!?」
「ああ、それならここでも見れるからね。それに、僕は君が気になって仕方ないんだよ」
そう言い、当然のように陽人の隣に座る志度。いや、なんなのこの人。
「あの…気になるって…?」
「いやぁ…君と遭遇できるようにいろんな場所を回っていたんだけどね、どうしても会えなかったから」
そう言いながら、モニターの画面を切り替えて画面をステージ会場に移す。
画面の向こうで熱狂の渦に揉まれているステージ。それを見ながら静かに口を開く志度。
「君は、何か武器は持っているの?」
「………」
溜めていた割に簡単な質問。でもその質問に、陽人は口をつぐむしか無かった。
「確かに素手が武器だと言う人もいるけど、君は違うよね?」
「…はい、多分」
「…武器が、唯一無二の自分だけの武器が欲しいとか思ったりする?」
「そりゃあ、持てるなら持ちたいですけど…」
話が読めない。志度は何が言いたいんだろうか?
「オーケー、君の希望は聞いた…楽しみにしててよ」
「楽しみって…ちょっと、先生!?」
そう言う志度はいそいそと立ち上がってエレベーターの方に歩いていく。
「きっと君には、良い武器が手に入るよ」
彼はにっこりと笑ってそう言う。
とっとと下の階に降りていく志度を、陽人は口を開けて見つめるしかできなかった。
「なんだ、あの人…」
言葉の真意がまるで分からない。いや、情報が無さすぎないか?




