表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロスト・フェイカー  作者: ニシイパスコ
個人遭遇戦 終戦
43/100

教育の時間です

「くたばれ…!」

土の塊を壊しながら、志度の身体を横薙ぎに吹き飛ばそうとする。

「くたばらないですよ、簡単には」

志度はすぐに軽くしゃがみ、ついでに霞の足を回し蹴る。

「いつもいつも…ふざけやがって!」

体勢が崩れた霞もそのまま縦に回転し、志度の顔に無理矢理剣を振り回す。

「お、そこまでは想定外ですね」

だが、霞のその意表を突いた攻撃でさえも、志度を傷つけることはなかった。

「貴様……!」

「ふう…。もし最初に遭ったのが霞くんだったら、僕はここで脱落していましたね」

志度と霞の大剣の間に、何か赤い障壁が。

その障壁は志度を守っており、彼は余裕そうに目を閉じてゆっくり立ち上がる。

「……何人その手に掛けた」

「…さあ?当ててみてください」

霞の質問に応じる気は全くないのか、にっこりとはぐらかす。

「………!」

それが霞の癪に触れたのか、今度は無言で志度の首を刈ろうとする。

「乱暴すぎるのも考えものだね…もう少し冷静に…っ!?」

また赤い障壁で霞の剣を受け止めたが、志度の余裕もそこまで長くは続かなかった。

突如後ろに吹き飛ぶ志度の身体。空中で何とか体勢を立て直して着地したが、志度の顔には焦りと驚愕で満ちていた。

「見えない矢…それに音も存在も認識できない…。どうい、う!?」

またも吹き飛ぶ身体。どうやら対志度用に作った戦法なのか、対策一つできない。

「いいですねぇ…。三校の生徒であるならば…これくらいの化けの皮、あって然るべきですよねぇ」

今度は冷静に着地できた志度は、大きく表情を緩ませた。

「ちっ、バーサーカーが」

「何とでも言ってください。私は生徒の成長を見るのが仕事であり、生き甲斐なんです」

そう言いながら、ズボンのポケットから長方形のグレーの袋を取り出す。

「…やっとか」

その動作を見た霞が、待っていたと言わんばかりの表情をする。

「えぇ…。暫くぶりですが、本気で教育をしてあげましょう。…覚悟はいいかい?」

袋から黒縁のメガネを取り出し、それをゆっくりと掛ける。

…志度のその目は、真剣そのものになっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ