自己紹介に子犬との会話
「えっと、日笠陽人です。親の都合とか…いろいろあってこの学校に転入することになりました。よろしくお願いします。」
自分の名前が書かれたホワイトボートの前に立って自己紹介をする。
ちなみに先ほどの志度先生は学年主任らしく、隣にいる教師は仁江というらしい。
「はい、日笠くん、自己紹介ありがとうございます。結構事情が複雑らしくて、答えられない事もあるらしいのであまり無理強いするのはやめてくださいね〜」
どこか眠たげな声の先生だ。目をしっかり開いて髪を整えれば結構人目を引きそうなくらいには顔立ちはいいのだが、どちらも怠っている上に着ているスーツもシワまみれなおかげで、色々残念な印象の先生だ。
(この人大丈夫か…?)
志度先生が信頼できる教師と言っていたので安心していいと思うのだが…少し不安になってくる。
「じゃあ…そこの空いてる席に座って。んじゃ、朝礼終わり〜」
指定された席に座り、自己紹介の時に足元に置いていた荷物を片付ける。
「よっ!日笠くん…だっけ?よろしく!」
「え?あ、あぁ…よろしく…?」
荷物があらかた片付け終わった頃、後ろから声をかけられ戸惑ってしまう。
「あぁ、ごめん。僕は戸賀恭弥、君の後ろの席だから、何か困ったら遠慮なく聞いてね!」
素直に子犬みたいだなと感じる。
大きくぱっちりとした薄い茶色な目、中性的でニキビひとつない綺麗な顔、まるで制服に着られている様な…男にしては少々頼りなく感じる華奢な身体、男女で制服が分かれていなければ女だと思っていたかもしれない。
声まで女っぽいな…これが男の娘ってやつか…。
「えっと、さっき自己紹介したけど、名前は…」
再度名乗ろうとした時、被せる様に戸賀が口を開いた。
「日笠くんってどこから来たの?あ、答え辛いことなら言わなくても大丈夫だよ!」
言っている途中で思う事があったのか、顔の前で両手をブンブンと振る。
何だこいつ、見てるだけで癒されるな…。
癒しとは無差別なのか…同年代の男だと分かっていながらも、無性に保護欲に駆られる。
「えっと…まあ、気にしないでもらえるとありがたい」
「あ、そっか…。そりゃ自己紹介の時に伏せてたし、そうだよね。ごめん、変なこと聞いて」
戸賀が目に見えてシュンとした。もしこいつに尻尾があったら、確実に垂れ下がっている所だろう。
今更申しますが、使用アプリの関係上文章量は以降もこのくらいになると思います。
もし読みづらい等ありましたら、感想で教えてください。