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ロスト・フェイカー  作者: ニシイパスコ
個人遭遇戦 終戦
38/100

街にある高い影

廃校舎のオブジェクトから東北へ少し離れた場所。そこにはまるで近未来都市のような、キレイで複雑な形のビルが立ち並んだ街が広がっていた。

「…あ、見つけた」

その中の一つのビル、都市のシンボルタワーのような場所から、フードを深く被った1人の女子生徒が双眼鏡で街の中を見つめていた。

「何を見つけたんだ?」

女子生徒の後ろから、少し不機嫌そうな声の男子生徒の声が聞こえた。

「えっと…菜季戸先輩だっけ?前回優勝した人」

「あぁ、あれか。どうせ勝手にくたばるだろう。無視しておけ」

男子生徒はどこか興味なさげに、ぼやくように答える。

「そうしてもいいんだけど…どうやらこっちに来てるみたいなんだよね〜」

女子生徒も同じように興味なさそうだ。

「知らん。同じ階に来たら俺が潰せばいい」

そう言う生徒の右隣には、人の身長ほどありそうな大きさの大剣が壁に立てかけられていた。

「そう?霞がそう言うならそれでいいけど…」

一瞬男子生徒の方に振り返ったが、女子生徒はまた何事もなかったように視線を元に戻す。

「それより、あのジジイは見つかったか?」

「もう…ジジイとか言わないの。一応相手は先生なんだし、毎日お世話になってるでしょ?」

「ちっ。…志度はいるか?」

口の悪い男子生徒を、女子生徒が軽く諭す。

舌打ちしつつも、諭された彼は素直に言うことを聞いていた。

そして流れ始める無言の時間。2人とも無言でいるその空間に、エレベーターから扉の開く音が聞こえる。

「…お前ら、こんなところで何をしている」

その中から壁のような大男が現れる。

「あ、菜季戸さん。そういや近付いてるんでしたね」

菜季戸がしかめっ面で2人を見据える。

「来なくていいのに…どうしてこの階層に来ちゃったんですか」

面倒くさそうに大剣を持ち、ズルズルと引きずりながら菜季戸の元に歩いていく男子生徒。

「お前…!」

菜季戸はとりあえずは室内に入ってきたものの、そこから一歩も動かない。

(朝霧と秋月…よりによってこの2人か…)

いや、動かないのではない。少しでも勝算が欲しいために、動けなかった。

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