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ロスト・フェイカー  作者: ニシイパスコ
個人遭遇戦 終戦
36/100

きれいな街と弱い君

「お待たせしました、着きましたよ」

エレベーターを降りるとそこは廊下ではなく、直接大きな部屋に繋がっていた。

「なんか…すごい部屋ですね」

全面ほぼガラス張りの部屋。7階という高い場所から見える街の景色は絶景で、目を見張るものがある。

このあたりは低めの建物が多いのか、7階の時点で近くの建物は大体見下ろせるようになっていた。

道路や建物の全てが透明感のある淡い水色のように見え、快晴の空も相まって、街全体が水に覆われているような…そんな印象を受ける。

ただ公園には緑が多く、色のメリハリが出来ているおかげで、ずっとこの景色を見ていても飽きる様子が全くない。

「どうですか?ここから街を眺めた印象は」

外の景色に気を取られていた陽人に、周夜が微笑ましいそうに話しかける。

「なんか、水色で統一されているようで…すごい綺麗な街並みですね」

まるでありきたりな感想しか出てこない。陽人の語彙が少ないのもあるだろうが、この透明感に満ち満ちた風景をどう表現しようか。

地上から見上げるのとは全く違う、慣れているはずの街の見たことない表情に、ただ息を呑むしかなかった。

「うぅ、シューくん…もう…無理」

陽人が街の景色に感動していると、青い顔をした千里がゆらゆらとエレベーターから出てきた。

「はいはい、今肩貸すから。しっかりして」

周夜がすぐさま千里に近づいていき、肩を組んで彼女の身体を支える。

そのまま何故か置いてあるベッドへ向かい、彼女の身体を横に寝かしていた。

「陰森さん、どうしたんですか?」

少し心配になった陽人が近付いて聞いてみる。

「あぁ、千里は少し乗り物に弱くて…。たまにこうやって、エレベーターで酔っちゃうんですよ」

なぜだろう、さっきから千里の悪いところしか見られていないような気がする…。

それにエレベーターでこんな酔い方をするなんて、陽人には聞いたことがない。

でもそんな彼女も好きなようで、周夜の顔には優しい笑みが浮かんでいる。

「…あ、そういえば。何をしにここに来たんですか?」

部屋の広さからみて、おそらく1階丸々の大きさになるだろうか。そんな巨大な部屋には、書類の棚やいくつかの机や椅子。それとベッド。あとソファやローテーブル等々…。様々なものが所々に配置されており、ここが何の部屋なのかも分からない。

「そうですね。では、早いところ始めちゃいましょうか」

そう言うと周夜は、すぐ近くの机に置いてあったリモコンを手に取り操作する。

すると、部屋の全ての窓に巨大な遮光カーテンが引かれていく。

明るかった室内が暗くなったと思えば、次はソファの前あたりに大きなモニターが出てきた。

モニターの電源が付き、何かの映像が流れ始める。

「これは…?」

「個人遭遇戦の、二位決定戦ですよ」

そのモニターの中でいくつも分けられている映像の中、何人…何十人もの生徒が、ひたすらに戦っていた。

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