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ロスト・フェイカー  作者: ニシイパスコ
個人遭遇戦 終戦
31/100

慌ただしい裏側

先程の部屋を後にして少し廊下を歩いていくと、壁一面に広がった木製の高級そうな扉の前に来ていた。

「こちらに来てください」

周夜はそのすぐ近くにある勝手口のような扉に入っていく。

ちなみに千里は

「うぅ…まさかシューくんだけじゃなくて、陽人くんにも無視されるなんて…。私はただあの瞬間をキレイに切り取っただけなのに…だけなのにぃ…!」

めちゃくちゃ項垂れていた。

「あの…陰森さん、なんかすいません」

陽人自身悪いことをしたつもりは一切無いが、一応何となく謝っておく。

「はう!?…良いんです、謝らないでください…。私が悪いんです…」

謝るのはダメだったらしい。千里の丸まった背中がビクッと反応し、綺麗な銀髪がサラサラと背中から落ちていく。

「ちょっと千里早く来て!千里がいないと何にも始まらないよ!!」

何やら騒がしい部屋の中から、周夜の声が聞こえる。

「あ、うん分かった!今行く〜!」

周夜の声に反応した千里が、顔をあげて駆け足で彼の元に走り出した。

それを何となく眺めていると、急に手が引かれる。

「おっ!?」

「ほら、陽人くんも一緒に来て!今日から君が主役なんだから!!」

千里が陽人の手を取り、ニッと笑う。

そのまま部屋の中に入り、二人で周夜の方に向かった。

中に入るとそこは、まるで舞台の裏方のような場所だった。

薄い壁の向こうから聞こえる騒がしい歓声。狭い通路の中には様々な機材や段ボールが置いてあり、照明も所々に剥き出しの蛍光灯があるだけだった。

「やっときた。じゃあ千里、この台本お願いね」

「うん、ありがとう!」

2人に気が付いた周夜は、千里に一枚の紙を渡す。

「日笠さんはまた後でお呼びしますので、ここでゆっくりしていてください」

陽人には、すぐ近くにあった丸椅子を差し出してそこに座るように促す。

「あ、ありがとうございます」

陽人は素直に丸椅子に座り、部屋の中を軽く見回してみる。

周りを見ても大人は一人もおらず、ここには陽人と周夜、千里の3人しかいなかった。

何かの機材を操作する周夜、照明の下で渡された紙を読み込んでいる千里。

2人とも意識はしていなさそうだが、まるで舞台の裏方を写すドラマのワンシーンのように絵になっている。

歓声と周夜の作業する音、そしてこの光景に夢中になっていると、千里が自信満々な声を出した。

「……オッケー、シューくん!こっち準備できたよ!」

「…分かった、じゃあいつものようにタイミング合わせてね」

そして合図もなく、2人の息のあったカウントダウンが始まる。

「「…3、2、1」」

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