表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロスト・フェイカー  作者: ニシイパスコ
個人遭遇戦一位決定戦
14/100

前回優勝者の肉弾戦(ここは魔法・魔力に特化した学校です)

「あの人、容赦なさすぎだろ!」

結局菜季戸の脇を抜けるように駆け出した陽人だったが、彼が見逃すわけがなかった。

「ちょこまかと…どうやら私に、喧嘩を売っているようだな…!」

戦斧を肩に担いだ菜季戸はすぐにこちらに振り返り、少し身を屈めたかと思うと、バネのようにこちらに跳ねてくる。

(おかしいだろ!?何で俺より速いんだよ!)

確かに筋力では菜季戸に負けるだろう。だが、体重は陽人の方が軽いだろうし、何より向こうは戦斧を持っている。

素早さでは、無防備なこっちが有利なはずなのだが…。

「少し期待していたのだがな…。結局のところ、逃げしか脳のない猿だったようだな」

菜季戸の巨体はすぐに近付き、いつの間にか陽人の目の前に回り込んでいた。

「そんな可哀想な猿追い詰めるなんて、先輩もいい趣味してるんすね」

すでに構えていた戦斧の間合いに入らないように急ブレーキを掛けつつ言葉を返す。

「猿相手だとしても私の奇襲を避けられたのは初めてでな、少々舞い上がっているのは自覚している」

「あんだけの回避で舞い上がるなんて、ガタイに似合わず可愛いんすね…!」

軽く挑発の言葉を投げつつ、来た道を全力で引き返す。今の陽人にはそれ以外に取れる術が無かった。

(クッソ…このままじゃジリ貧過ぎる!)

何か使えるカードは無いか必死に辺りを探すが、周りには鬱蒼と生い茂る木々と、背後から超スピードで追いかけてくる菜季戸の姿しか無い。

(ちょっと待て、あれ走ってないよな!?)

近付く菜季戸の足元を注意して見ると、ほとんど地に足が付いておらず、“走る”よりも“跳躍”の方がしっくりくる。

(何だあれ、足にロケットでも仕込んでるのか…?)

変なことを考えながら走っていると、雑草が足に引っ掛かってしまい、勢いよく転倒してしまった。

「ろくに足元も見ずに走るとは、逃げにも脳が無かったか!?」

菜季戸はそのまま足を地面に着けること無く戦斧を降ろし、近くの地面ごと陽人を吹き飛ばした。

「がはっ!?」

地面の下から下腹部を殴られ、吹き飛んだ身体がそのまま近くの木に激突する。

前後から激しい鈍痛が走り、固まった空気と一緒に内臓まで体外に飛び出しそうになった。

脱落せずに済んだのは、地面を抉った時に戦斧の勢いが削がれたためだろうか。

(あんの野郎…何が魔法だよ…!?)

頭も強く打ったか、チカチカする視界の中でゆっくり近づいてくる菜季戸は、まさにオーガそのものだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ