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第52話 遅すぎた参戦


 中庭は喧騒が広がり始めていた。


 先の戦闘を校舎から目撃した生徒たちは、窓から彼らの動向を注視している。

 観戦でもしているつもりなのだろう。


 「貴様ら、そのまま生きて帰れると思っているのか……?」

 

 対して中庭に緊張が走っている。

 仰向けで倒れた騎士が立ち上がり、恐ろしい形相で睨みを効かせる。

 

 「この、私に、土をつけるどころか……あまつさえ……」


 騎士エルゴーはふらつく膝を必死に押さえる。

 そして、揺れる体を支えるために、地面に剣を突き立てた。


 「上等だ!! どこまでも付き合ってやんぞコラ!!」

 「黙れ!!!」


 騎士が叫ぶと、強烈な熱風がレンの頬を通り過ぎた。

 圧倒的な威圧にリースとクレアの足が竦んだ。


 「貴様だ……貴様だけは、何としてもここで殺す。遺体は灰にして馬の糞に混ぜてやる……!」


 エルゴーはレンを指差している。


 強い視線を受け、レンはメラルに並び立ち言った。


 「メラル、君は二人を連れて逃げて」

 「あ? 俺がそんな事を承知すると思ってんのか?」

 「……だよね」

 「当たり前だ! 今度こそ俺も戦ってやらあ!」


 レンは騎士には応じない。

 どこまでも不遜な態度に、エルゴーの語気が荒ぶった。


 「貴様だ!!! 貴様に言ってるんだ!!!!! このクソガキが!!!!!!」


 彼は震える拳を振り上げる。

 すると、彼の手の平が赤い輝きを放つ。


 「芸がない……」


 そんなレンの言葉とは裏腹に、エルゴーの背後には恐ろしい灼熱を放つ『炎の精霊イフリート』。

 再び顕現した脅威を目にしても、並び立つ男二人の戦意には一切の曇りはない。


 エルゴーとの間合いはおおよそ2メートル。

 一足踏み込めば、拳が届かない位置ではない。


 「メラル、やるよ……」

 「おう、騎士はお前な。あの赤いのは任せとけ」


 火花が散るような緊張感とそれを観戦する生徒達の期待感。

 第二ラウンドの鐘が今まさに鳴ろうとしていた。


 その時だった。

 それは突然、上空から現れた。


 ーーザッパーーン!!!!!!


 それはまるで洪水のような大量の水だった。

 エルゴーの背後に現れたイフリートを一瞬で蒸発させ、中庭全体を水蒸気と急流で満たしていく。


 騎士と相対する二人はその場に踏ん張ったが、クレアとリースは水の勢いに負け、校門の方へ押し流されていった。

 だがやがて、エルゴーはその圧倒的な水圧に押し負け、膝をつく。


 「くそ! 何者だ……!?」


 息を吐き出すような呟きに、空から答えが返ってくる。


 「フッ……訳あって名乗れない、しがない魔法学士よ!!」

 「そ、その声は……!」


 皆、一様に天を見上げた。


 空に昇った水蒸気は、まるで幕が上がるように吹き抜かれ、少女の姿を舞台に上げる。

 優雅に浮き上がったその少女は、渾身のドヤ顔を引っ提げてこちらを見下ろしていた。


 その瞬間、レンは叫び出しそうになる。


 (サリー!!! 遅いよもう!!!)



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