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第27話 報告会

 4人が宿の部屋に入ると、先に帰っていたスミスが大声で迎えてくれた。


 「おかえり!! 学園生活はどうだった!?」

 

 茶化したように笑うスミスだが、4人はそれぞれ複雑な表情を作る。

 

 「ただいま、スミス。中々に実りの多い場所だったよ。そちらはどうだったかな?」

 「ああ! すまん! 成果はほぼゼロだ! 方々色々と聞き回ってみたんだが、新しい情報はなんも無し!」

 「そうかい……ご苦労様」


 アルドがどかり、とソファに沈む。

 皆もそれぞれのベッドに腰掛けつつ、小さな報告会が始まった。


 「じゃあ、僕から……」


 先に口を開いたのはレンだった。

 結局のところ、レンだけが学園で単独行動となってしまったが、スミスにとって重要な情報を早く伝えたかったのだ。


 「スミス、君の妹さんらしき人を見つけた」

 「何だって!?」


 スミスは叫ぶとベッドから立ち上がった。

 そして目を丸くしたまま、レンを見つめている。


 急かすような視線を感じ、レンは学園での出来事を順を追って話していった。


 メラルとの遭遇、そして闘い。

 彼の取り巻きと、友人らしき二人の少女。

 校内を走り回り、地下迷宮へ落ちた事。


 「……聞いてる限りじゃ、確かにクレアっぽい……」


 静かに話を聞いて、スミスは小さくそう言った。


 「やっぱりそう?」

 「ああ……だが不思議なんだ。クレアは一応、奴隷のはず。これだけは間違いなく真実だし変えようもない。そんなクレアが一体何でザグラムの、しかもエリートが集まる魔法学園に居るんだ??」

 「……うーーん。確かにそうですね……」


 ノエルが小首を傾げた。

 

 「ごめん、そこまでは聞けてないや。でも、確かにスミスという名前のお兄さんが居るとは言ってたよ」

 「そうか。それなら俺の妹かもしれないな…………よし!」


 スミスは膝を叩いて立ち上がった。

 そして、サリーに顔を向ける。


 「サリー、明日は俺も学園に入るぜ! クレアの顔を直接見たい」

 「ええ、分かったわ。それらしい外見を見繕ってあげる」


 今日一日、スミスは一般的な商人に見えるよう、認識阻害魔法をかけられていた。

 そのまま学園に潜入するのは流石に無理がある。そのため、真っ先にサリーへ依頼したのだ。 


 その様子を見て、アルドが満足そうに笑みをこぼす。


 「うん。スミスの探し人が見つかりそうで何より!」


 そう言うと、彼はレンの方へ目を動かした。


 「ところでレン、さっき言っていた地下迷宮とは、君が以前入った迷宮の事か?」

 「……うん、それの事」

 「では、そこには神器の力を封じたという魔道具もあるのではないか!?」

  

 レンがまだ勇者だった頃、彼は地下迷宮でその魔道具の存在を感じていた。

 はっきりと姿形を確認できた訳ではないが、その効力は身を持って体感している。


 「確かにそうかもね……でも、確認しに行くにはだいぶ危険な場所だよ。あそこには未だに亡者がウヨウヨしている」

 「……そうか、そうだな」


 アルドは諦めきれない様子で色々と思考したが、それはサリーに遮られた。

 

 「アルド、それよりも私たちの成果を話とくべきじゃない?」

 「あ、それもそうだな。その件は保留しておこう」


 サリーはそのまま話し始めた。


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