表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

117/198

第6話 置き去り

 ザグラム魔法学園1F大廊下では、瞬く間に騒ぎが広がっていた。

 何気なく歩いていた生徒たちは足を止め、その光景を興味深げに眺め始める。


 「貴様!! メラル様に何しやがる!!!」

 「い、いや……ごめんなさい……!」


 メラルの取り巻きに囲まれたレンは、冷や汗をかきながら謝った。しかし、それで済むなら取り巻きたちも怒っていない。


 人だかりは大きくなっていく。野次馬もどんどん増え、床に伏せるメラル目にして一様に驚いていた。

 

 「テメェ……! 謝って済むわけねぇだろ!!」


 一人の巨漢がレンの襟首を掴んで、片手で軽々と持ち上げた。流石にレンも無抵抗、なんなら殴られる覚悟をした。

 だがその時、床の方から声が響いた。


 「待ちやがれ!!」

 

 声の主は地面に倒れていたメラルだった。彼は床に手をついてゆっくりと起き上がる。

 その姿を見て、取り巻きたちは慌てて駆け寄った。

 

 「メラル様……! しかしコイツ……衆目の前で貴方に恥を……!」

 「黙ってろ……!!!」


 恐ろしい表情で駆け寄った彼らを一喝し、持ち上げられているレンを睨む。レンを捕まえている男も怯えながらレンを床に下ろした。

 

 「あ、あの……」

 「……」


 沈黙。


 メラルはただ黙って、レンを睨み付けている。

 その場にはとんでもない緊張が走った。


 それを見ていたアルドはどう助けようかと苦心する。


 割って入れば自分も巻き込まれ、騒ぎが大きくなる。かと言って、このままにするのは危険だ。認識阻害の魔道具があるからと言って、これ以上目立っては潜入し続けるのは困難になる。


 「どうしたものか……。サリー、何とかこの場を治める方策はないか?」


 アルドは横にいるサリーに聞いた。しかし、サリーも苦い顔をしてメラルを見ている。

 

 「……いい方法があるわ」

 「ほう。どうすればいい?」

 

 「ここは別行動といきましょう。レン・ノエル班とアルド・サリー班に分けるの。私たちは先に大図書館へ、レンたちは……予定通り教会を調べてもらうって事で……」


 昨日の打ち合わせでは、信仰の集まりそうな場所として学院内の教会が挙げられていた。

 転移の門の触媒になりそうな場所は一応確認したほうがよいだろうと言う事で、今日の目的の一つでもあった。


 「……って、待ってくれ!! 見捨てるのか!?」


 まさかの方法に驚愕するアルドだが、サリーはいそいそと彼の手を引いた。


 「だ、大丈夫よ! 後で迎えにいくから! それにメラルって奴は見た目ほど悪い奴じゃあ……」


 サリーがそう言いかけると、遠くのレンと目があった。

 その潤んだ瞳は明らかに助けを求めている。


 (サリー! アルド! 助けて!!!!!)


 声なき悲痛な叫びを受けて、サリーは優しく微笑んだ。そして、自身の胸の中心を指差しながら口パクでこう言った。


 「ま・ど・う・ぐ・こ・わ・す・な」


 恐らく魔道具とは、レンが首にかけている認識阻害のペンダントのことだろう。


 「きょ・う・か・い・は・ま・か・せ・た」


 サリー最後にそれだけ言うと、アルドを引っ張り人混みへ消えていった。

 後に残されたのは、睨み続けるメラルと同様するレン、座り込んで怯えるノエル。ついでに物凄い空気。


 (…………見捨てられた!?)


 「……おい」


 レンがショックを受けていると、黙って睨んでいたメラルが口を開く。

 

 「は、はい……なんでしょう……?」

 「テメェ……そのシスターさんとどういう関係だコラァ」


 怯えて床に座り込んでいるノエルを指して、そう言った。


 「え??」

 「はえ??」


 奇しくもレンとノエルは同時に声を出した。


◎読んでいただき誠にありがとうございます!!◎


大変恐縮ではございますが〜

少しでも本作を気に入ってくださった方

面白いと思った方


評価とブックマークを頂けると大変嬉しいです


作者の日々の励みにもなりますので

お手数ではございますが

どうか、よろしくお願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ