828.祭りと東の国
太陽がまぶしい。噴水の除幕式も終わり、俺はレイアと話し合いをしていた。
場所は冒険者ギルドの執務室でだ。
「それで、ふたりきりで話したいことだとか」
「ええ、いくつかございます――」
こほんとレイアが咳払いをする。
珍しく真剣な目のレイアだ。
まぁ、帽子はいつものぴよ帽子なのだが。
「ひとつは、今年の冬至祭のことです」
「あともう少しだったか」
冬至まであと1か月くらいだったか。
場所によっては盛大なお祭りをするようだ。
「ぜひ、今年はこの村とザンザスで合同のお祭りを……!」
「むっ……ステラ復活記念とかなんとか」
冒険者ギルドを作る時にそんなことを言っていたな。
確かに良い機会ではある。
「そうです! プラス、ぴよちゃん祭りとして……!」
レイアの瞳が熱く燃えている。なんだかレイアのぴよ帽子の瞳まで燃えているようだ。
「……ザンザスのほうではそんなにお客が来るのか?」
「はい、毎年数千人が来ますね」
それはすごいな。すでにかなりの規模だ。
もし一緒にやれば、この村にもかなりの恩恵がありそうだ。
「よし、前向きに検討しよう」
「ありがとうございます……!」
まだレイアは話をしたそうだ。
これで終わりではないらしい。
「最後にもうひとつ、ありまして……」
レイアの目が泳いでいる。
俺はそれにピンとくるものがあった。
「あまり良くない話か?」
「いえ、そういうわけではないのですが――はい」
珍しく言葉の歯切れも悪い。
「かつて東の国に行かれたのを覚えておられますよね?」
「燕の像とエルフの国々だな。バットを置いてきた記憶があるが……」
「そちらの国とはまた別の国から、ザンザスに書状が……」
そこでレイアは言葉を切った。
まさか、またなのだろうか。
「東の国――エルフの国の王家からです」
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