820.乗って帰ろう
「ぴよー……残念ぴよねー」
ディアがアルミラージに視線を送る。
「きゅー」(仕方ないよー……)
「良ければ最後に、アルミラージに乗りますか?」
カイがステラとディア、マルコシアスとララトマを見やる。
「この子達も気を許していると思いますし」
「本当ぴよっ!? 乗りたいぴよよー!」
「楽しそうなんだぞ……!」
ステラたちが戻ってきたら、それで帰ろうか。
と、言っている間にちょうどステラたちが戻ってきた。
「ふぅー! ただいま戻りました!」
「うぃー……」
元気なステラとお疲れなナナ。
その後ろにはコカトリスたちもいた。
「ぴよ!」(グッドスイミング!)
「ぴよよ……!」(いい泳ぎができました……!)
ステラとナナはしっかりと核を回収してきていた。
9個……うん、魔力は途切れているが。
これで危険はないだろう。
「お疲れ、何かあったか?」
「ええ、大丈夫です! ナナの疲労以外は問題なく……」
「……うん」
ナナはぐったりとしている。
空は明るく、雨雲も通り過ぎたようだ。
帰り時と言えば帰り時である。
「どうする? 少し休んでいくか、アルミラージに乗って帰るか……」
「なんとっ!? 私も乗っていいのでしょうか?」
ステラが身を乗り出す。
カイが頷きながら答えた。
「問題ありませんよ。にんじんで懐いていると思いますし……」
「きゅー」(撫で方もプロだよねー)
「きゅー」(ねー)
アルミラージも異論はなさそうだ。
「ごくり……密かなわたしの野望が……!」
「あんまり密やかじゃない気が」
しかしララトマだけはちょっと乗り気ではなさそうだった。
「うー、ぼくは……足が地面から離れるのは……」
「ウゴ、ついてようか?」
ウッドがララトマに優しく寄り添う。
「ウゴ、アルミラージはあんまり揺れないし、俺に摑まっていれば大丈夫!」
さっき、割りと無茶な運ばれ方をしたウッドが言うと説得力あるな。
ララトマもウッドの言葉に安心したようで、
「そうです? じゃあ、それなら……です!」
こうして村への帰り道、アルミラージへ乗ろう会ができた。
ちなみにナナはコカトリスに担がれて帰ることになった……。
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