818.回収
それからみんなとゆっくり合流した。
もう焦る理由はないからな。
「ふぅ……危機は去りましたね」
「ああ、これもみんなのおかげだ」
村のみんなで作った雷神球の破壊力は凄まじかった。
ちゃんと正確に投げられたステラとウッドもだが。
ナナの鞭もいつも通り、活躍してくれた。
ララトマの笛にも助けられたし、アルミラージもカイも役割を果たしてくれた。
コカトリスも文字通り身を投げ出して時間を稼いでくれたしな。
……俺こそあまり役に立っていない気がする。
そんな事実から目をそらしつつ、俺はステラに聞いた。
「問題は核の回収だな。湖に沈んでしまった」
「その点はご心配ありません。核の行方はおおよそ目撃していますので……!」
「そ、そうか……」
あんな小さな玉の、爆発した瞬間も?
しかしステラが目撃しているというならしているのだろう。
さすがにもう疑ったりはしない。
カイがこそっと俺に聞いてくる。
「本当でしょうか……?」
「ステラが言うなら絶対に大丈夫だ」
「さすが英雄……」
ちなみにステラは聴覚も超優れている。
これも聞こえているだろうが、まぁ大丈夫だろう……。
あとはカイの魔法で核の位置も把握できた。
ステラの目視とカイの魔法でかなり絞り込めたので、あとは潜ればイけるな。
ポーション類をがぶ飲みして復活したナナがのそりと起き上がる。
「じゃあ、早速回収にいこうか……」
「大丈夫ですか?」
「9個もあるんでしょ。手分けしたほうがいいって」
というわけでステラ、ナナ、コカトリスで湖に潜っていった。
俺たちはいざという時のバックアップ――もとい潜水がそれほど出来ない組だ。
ディアとマルコシアスが羽と前脚を振る。
「いってらぴよねー!」
「潜ってらっしゃいなんだぞー!」
湖につかったステラが手を振る。
「では、ちょっと潜ってきますねー!」
「「ぴよよー!!」」(じゃあねー!!)
「よっせと……」
潜るのを見届けたあと、アルミラージを撫でるカイがぽつりとこぼす。
「……この湖、そこそこ深いですよね」
「ウゴ、母さんなら心配ないよ!」
俺はかつて海で泳いだ時を思い出していた。
「そうだな……3時間くらいは潜っていられるんじゃないか?」
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