816.ナナと合流
ステラのほうはずっと気にしていたが……まさか、こうなるなんて。
「あああーーーっ!」
ナナが叫びながら黄色の閃光となって空を駆ける。
もとい、投げ飛ばされていた。
「うおあああーーーー!!」
着ぐるみの耐久力とステラの投擲力。
ふたつが組み合わさり、水柱を貫通する。
問題は……着地だった。
このままでは地面に突き刺さるのは避けられない。
「ウッド、もうちょい右だ!」
「ウゴー!」
アルミラージから降りた俺とウッドはナナをキャッチしようとしていた。
ウッドが数歩、位置を変える。
手には俺の生み出したキャッチ用の葉があった。
ナナの絶叫が聞こえる。
かわいそうに……キャッチはきちんとするからな!
「うにゃーーーー!!」
「よし、そこだ!」
ボスッ!
ちょうどウッドの懐にナナが飛び込む――うん、ナイスキャッチだ。
「ウゴ、取れたー!!」
「ああ、よくやったな……」
ふぅ、自分でも驚く捕球力(?)だ。
これも野ボールの練習の成果……かもしれない。
「ウゴ、だいじょうぶ?」
「くぅ……うん、大丈夫……」
ナナは着ぐるみの頭を振って葉から飛び降りる。
足取りはしっかりとしていた。無事なようだな。
「ウゴゴ、良かった!」
「まさかコカトリスの真似をして飛ばしてもらうなんてな……!」
俺は敬意を持ってナナを見つめた。
ほぼ自殺行為だが、ちゃんと合流できている。
俺なら絶対に嫌だが、さすがSランク冒険者だ!
ナナは目をそらして水柱に向き直る。
「ふぅ……効果はあったようだね」
ウッドが俺に囁いてくる。
「ウゴ……なんか元気ないみたい……」
「そうか?」
「ウゴゴ……結構、雑っぽく母さんに投げられた気がする……」
「そんなわけはないと思うが……。いくらなんでも無謀すぎるだろう」
うん、Sランク冒険者同士の阿吽の呼吸があったに違いない。
着地はやや……失敗気味だったが。
とはいえ、無傷での到着を見越してのことだろう。
「さて、ブルーヒドラだが……」
コカトリスはお互いを投げ合ってタックルしている。
おかげでブルーヒドラは体をかき乱され、押されていた。
だが雨がまた降ってきて、ブルーヒドラの首がうごめいている。
時間稼ぎも限界が近い。
ステラが小さく見えるが、腕の辺りが光って見えた。
あの光は――雷神球の瓶を掲げているのだろう。
「一斉攻撃だな」
「ウゴ、タイミングは?」
「それならいいのがあるよ」
ナナがお腹をごそごそして、筒を取り出した。
「狼煙の筒~」
てってれー。便利な物を持っているな。
「この狼煙は30秒後に攻撃、という合図だ」
「おお、ぴったりだな。でもステラに信号の意味はわかるのか?」
「狼煙の色は昔から変わっていないから、大丈夫」
「ウゴ! じゃあそれを使おう!」
決まったな。30秒後に一斉攻撃だ。
お読みいただき、ありがとうございます。







