806.手から出るっぽい
俺が芝生で休んでいると、そこにウッドがやってきた。
「ウゴ、いい芝生!」
ウッドが俺の隣に来て、芝生の感触を確かめている。
「一緒に休むか? まだ芝生は広げられるぞ」
「ウゴ、ちょっと休むー!」
俺は少し芝生を広げる。
そこにララトマもおずおずと近付いてきた。
「ぼくもいいですかー?」
「ああ、大丈夫だよ。ゆっくりしてくれ」
ウッドとララトマは並んでひなたぼっこを始めた。
「はー、いいですー……」
「ウゴゴ、湖の風がいいよね」
「はいです、日の当たる所の風は、やっぱり地下と違うです」
少し日光は弱いが、いい気持ちだ。
座って寝転がると眠たくなってくる……。
「きゅー……!」(じーっ……!)
「ぴよよー……!」(じじーっ……!)
「うん……? どうしたんだ?」
いつの間にかコカトリスとアルミラージが俺の側にいる。
「はふー。どうやらエルト様に興味津々みたいですね」
「芝生を生み出してからなんだぞ」
ステラとマルコシアス、ディアはコカトリスの間に挟まっている。
ふわもっこを全身で堪能しているな。
「でも芝生……?」
「きゅっきゅっ」(この手から出たように見えたっ)
アルミラージが寝転がる俺に近寄り、手をものすごく見てくる。
鼻先がくっつきそうなくらいだ。
「きゅいきゅ……!」(昨日もにんじんが出てきた……!)
はふはふ……!
興奮しているのか、荒い息が手のひらに当たってくすぐったい。
「どうやら芝生やにんじんが出てくるのを、不思議に思っているのですー」
ララトマがゆるく答えた。半分、寝そうである。
「それは植物魔法だな……」
俺は意識を集中させ、にんじんを生み出す。
「きゅいー!」(にんじん、きたー!)
「ぴよよー!」(おやつだー!)
アルミラージとコカトリスがしゅばっと持って行く。
目にも止まらぬ早業だった。
「ウゴ、大人気!」
「どちらかというと、生み出した野菜のほうが人気みたいだが」
「ぴよちゃんに人気、うらやましいです……!」
ステラはコカトリスの背中にひっついていた。
軽く背中側からマッサージしているようだな。
「ぴよー……」(ご飯にマッサージ、いいねー……)
「みんな、楽しそうぴよねー」
ディアはにんじんを食べているアルミラージの頭を撫で回している。
ディアの羽は天使の気持ち良さ。
撫でられてるアルミラージがうっとりしていた。
「我が主も楽しんでいるんだぞ……!」
「もちぴよ! マルちゃんも撫でちゃうぴよよー!」
「やったんだぞー!」
そう言って、ディアは差し出されたマルコシアスの頭も撫でまくる。
「ぴよぴよぴよー!」
「だぞだぞだぞー!」
うん、実に平和だ……。
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