805.湖へ
湖へは順調に進んでいく。
アルミラージにとっては初めて歩く道だな。
「きゅっきゅいー」
「きゅいいー」
「アルミラージちゃん、うきうきですね」
「お散歩は楽しいぴよ!」
「だぞだぞ!」
ぽにぽに。ディアは小さい身体ながらも意外と歩くのが早い。
いや、あくまでサイズにしてはだが……。
アルミラージはディアに合わせて歩いてくれている。
できる子たちだ。
ちらっと後ろを見ると、カイ達が木陰に隠れている。
ふむ……ちゃんとついて来ているようだな。
「ぴよ……?」(視線を感じる……?)
しゅしゅ。コカトリスが不意に振り向くが、カイたちもさすがは騎士
カイ達が見つかることはない。
そのまま小一時間、湖へと歩いていく。
天気は相変わらず良くなかったが。
「ぴよー」
「きゅっきゅいー」
そろそろ湖が見えてくる頃か。
晴れていないのは残念だが仕方ない。
「さて、そろそろ湖ですからねー」
そうして道を進むと――開けた場所に出た。
ここからなら湖を一望できる。湖は変わらず、悠然とそこにあった。
「ぴよぴよー」(とうちゃくー)
「きゅっきゅいー!」(思ったより広いー!)
地下コカトリスとアルミラージが目をきらきらさせている。
ここは村で一番眺めがいいからな。
「ウゴ、ここはいつも綺麗!」
ララトマがぽてぽてと湖のふちへ歩いていく。
「ふむふむ……この辺りは気持ちいいでしょうね~」
土の感触を確かめる様に、ララトマが地面を踏んでいく。
ちょうど掘り返された跡がある場所だった。
「……そこは前にテテトカが埋まってた場所だな」
前に釣りに来た時、その辺に埋まっていた気がする。
「テテトカ姉ちゃんがです? やっぱりこの辺りを選ぶのですね!」
「何か理由があるんだぞ?」
「ぽやっとふんわりしてるです。栄養もグッドです」
お、おう……なるほど、そこまでわかるんだな。
さすが土にこだわるドリアードだ。
「じゃあ少し自由時間にしようか。あまり遠くへは行かない様に」
「「「はーい!」」」
湖の側には休憩所である大樹の家もあるが……まぁ、いいか。
ステラとディア、マルコシアスはアルミラージ、コカトリスたちと遊ぶようだ。
俺は湖の近くに植物魔法で芝生を生み出す。
「よいせっと……うん、悪くない」
俺は生み出した芝生へと座る。
保護者らしく、全体を見渡せる位置で腰を下ろすとしよう。
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