798.遭遇したもっふ
「……そうぴよね。そうだったぴよ」
ディアがふむふむと頷く。
「ナナぴよもそうだったけど、危ないぴよからね……」
「でも、これはどういう状況なんだぞ?」
俺は顎に手を当てて考える。
「これは――きっとカイが散歩にでかけようとしたところ、コカトリスと遭遇したんだな」
「ウゴ! もしかして、コカトリスも俺たちと同じこと……?」
「昨日、コカトリスもアルミラージと会っているからな」
「ええ、皆で会いに来ちゃったんでしょうね……」
可能性は高いな。和気あいあいとしていたしな。
ほろり。なんというタイミング……。
「でもウサギさんかわいいぴよよ!」
ステラの懐にいるディアがぴよっと羽をばたつかせる。
「さわさわしたいぴよ!」
「そうですね。とりあえず、近づきましょうか……!」
ステラがカゴからにんじんを取り出した。両手ににんじんを構える。
マルコシアスはくむくむと何か匂いを嗅いでいた。
「わふ、コカトリスの陰にララトマがいるんだぞ?」
「ウゴ、付き添いかな?」
「多分そうだろうな。コカトリスだけだと会話も出来ないし……」
カイに近付くとウソ寝なのがわかる。
なんというか、明らかに手足を緊張させているからな。
「きゅいー」(ふっかふかー)
「ぴよぴよー」(もっみもみー)
で、コカトリスとアルミラージだが。
コカトリスとアルミラージはお互い、触り合っている。
コカトリス四体とアルミラージ三体、かなりのもふもふだ。かわいい。
俺達が近づくと、ララトマがほっとしたように腕を振る。
「あっ、エルト様! ちょうどいいところでした!」
「ララトマ、ごきげんよう」
「ごきげんようです! えー、この人がいきなり……その、倒れまして」
ララトマが戸惑いながらカイに視線を向ける。
「寝ているのか、起きているのか……ですっ!」
どうやらララトマはウソ寝に気が付いているようだった。
まぁ、人間から見たらわかるよな。
お読みいただき、ありがとうございます。







