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796.雷神球

 翌朝、アナリアは工房で目を覚ました。


「ん、うーん……」

「もぐ、起きたもぐー?」


 イスカミナがゆさゆさとアナリアを揺する。


 アナリアは眠気を覚ますために首をゆっくりと振る。

 雷神球の製作に熱中しすぎて、そのまま工房で寝てしまったようだ。


「寝落ちたはずですが……」


 しかしアナリアはふかふかのマットに寝かされ、毛布もかけられていた。


「これは――イスカミナがやってくれたのですか」

「もぐ! 学生時代を思い出すもぐねー」


 イスカミナとアナリアの付き合いは長い。

 特にポーション関係ではアナリアが妥協しないのを、イスカミナは知っていた。

 なのでそのフォローも慣れている。


「サツマイモジュースもぐよー」


 イスカミナが白く濁ったジュースをコップに入れて持ってきた。

 サツマイモをろ過して水、砂糖、牛乳を加えたイスカミナ特製ジュースである。


「懐かしいですね……!」


 アナリアがしみじみと言いながらジュースをすする。


「勉強漬けのときは、これを良く飲みましたねー」

「もっぐ! ここにサツマイモがあって良かったもぐ!」


 ぬるめのサツマイモジュースを飲むと、目がぱっちりと覚めてくる。


「無茶はいけないもぐけど、アナリアは聞かないもぐ。せめて栄養はとるもっぐ!」

「ふふ、ありがとう。でも、もうちょっとで完成ですから……」


 作業をしているが、おそらく三個できるかどうかだろう。

 机の上には丸いフラスコ瓶が二個置いてあった。

 フラスコ瓶の中をゆったりと黄色の光が渦巻いている。


「綺麗もぐねー」

「純度が高まっていますからね。普通の雷撃ポーションより美しいです」


 この二個は最終段階だ。あとはアルミラージの爪を砕いて混ぜれば完成である。

 こうした化学変化がアナリアは大好きであった。


「手伝えることがあったら、私も手伝うもぐ」

「そうですか? それじゃ、この素材を砕くのを――」


 こうして雷神球製作も順調に進んでいくのであった。

お読みいただき、ありがとうございます。

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