790.カイとぴよ
悩んでいると、ステラが俺の肩をちょんちょんと突っつく。
「エルト様、やはりこの方々も……?」
「ああ、コカトリスを見るとウソ寝するみたいだな」
「あー……いましたねー」
ステラがアルミラージへのにんじんあげを続けながら回想する。
「ぴよちゃんは可愛いのに……」
「大変ですねー」
テテトカはのんびりと草だんごを食べながら答えた。
ステラはカイ達に同情的な視線を送る。
ぐぅ、ぐぅ……カイ達は動けないでいた。
そこへコカトリスがぴよっとカイ達に興味を持つ。
「ぴよ? ぴよよっ?」(ところでこの人達は? 寝てるの?)
「きゅいー」(そんなはずはないと思うんだけどなー)
コカトリスがカイ達を眺めて首をかしげていた。
「ぴよ、ぴよよー」(寝てるならお邪魔しちゃ悪いかな、出直そうかなー)
ぴよぴよしながら、コカトリスがカイからちょっと離れる。
「寝ている人には優しいぴよちゃんなのです」
コカトリスが少し離れたか。
俺は倒れているカイに近付いてこそっとささやく。
「場所を移動しようか」
「そうしてもらえますとっ……!」
カイがこそっと返事しながら、アルミラージの体を撫でる。
「ほら、もうにんじんはたくさん食べたでしょ……?」
「きゅっ……きゅいー」(むー……はーい)
アルミラージは不服そうだが、カイ達に従って食べるのをやめた。
もきゅ、もきゅ……角のついた大きなウサギだな。実に良い。
「ぼくたちも行きましょー」
テテトカがコカトリスを連れていく。ナイスな判断だ。
「ぴーよー」(じゃー、またねー)
「きゅーいー」(まったねー)
コカトリスが羽をふにっとさせて去っていく。
「びくっ」
コカトリスショック、この村にいる間は大変だな……。
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