782.雷神球を再現
翌日。あとやっておいたほうがいいのは雷神球を投げる練習だな。
雷神球は普通のポーションより大きく重い。
リビングでとりあえずボールを作ろう。
俺とステラはウッドの生み出した綿を布に詰め、練習用のボールにする。
「こんなところでしょうか……?」
ボールの大きさは小さめのボーリング玉くらいだな。
「薬師にみせてもらったフラスコ瓶はそんな感じだな」
前世のゲームでも、雷神球は普通のポーションより大きかった。
……俺だとやはりうまく投げられそうにない。
「ぴよ。おっきいぴよねー」
ディアがぽにぽにと覗きこんでくる。
「まだ完成じゃないけどな。重しがいる」
雷神球は固体なのでかなり重い。これだと重さが足りないのだ。
「ウゴ、ちゃんとなげられるようにしないとね!」
「そうだな、攻撃手段があっても当てられないと意味ないし」
マルコシアスがディアをふわっと抱き上げる。
「我も練習するんだぞ!」
「ぴよ……。そのほうがいいかもぴよね」
ディアがマルコシアスの頬を羽でむにむにする。
そしてじーっとマルコシアスの顔を見つめた。
「運動不足をかいしょーぴよ……!」
「まぁ、ザンザスでも結構食べたしな」
しかもステラの作る料理はおいしいし。
言いながら、ボールに重しを入れて完成させる。
「ふむ……これで良しと」
前世でやっていたゲームには重さの概念もあったからな。雷神球は確か3キロだった。
地球とこの世界で重さの単位を換算をして……これくらいでいいはずだ。
「こちらも出来ました……!」
ステラのほうも完成したらしい。これで二個だな。
「よし、広場で練習するか」
家族皆で第二広場へ出発する。
今日の天気も晴れ晴れしている。さらに風もないのがいいな。
格好の野ボール日和である。
「るんるんぴよー」
「ふふ、ご機嫌ですね」
「もちぴよ! あたしもがんばるぴよよー!」
すでに第二広場には冒険者とニャフ族が野ボールをしていた。
結構盛り上がっている。
「やっていますね……!」
それと何やら冒険者が狼煙を上げているな……。
青い煙が立ち上っていた。
「あれは……わかるか?」
「冒険者の使う狼煙ですね。あの青は『手が空いている人は集まれ』です」
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