779.ララトマの笛
「ぴよよー」(手掛かりかー)
「ぴーよ……」(うーん……)
地下コカトリスが頭をひねっている。
「……ぴよ」(匂いがちょっと違うくらいかな)
「ぴよ」(うん、しゅわしゅわーってしてる)
「匂い……?」
地下コカトリスが言ったのは思いもよらない特徴だった。
うーむ、ブルーヒドラと対峙した時は意識しなかったが、そうなのだろうか。
「ぴよ」(舐めるとしょっぱい)
「ぴよよ」(おいしくない)
お、おう……。
舐めてみたのか、アレを。
コカトリスの胃袋は異次元に強いから、問題ないのだろうが。
しかしコカトリスに言わせると、他の水とは明確に違うようだ。
ララトマが補足する。
「ぴよちゃんなら、近くに行けばわかるかも……です」
「そうだな。イスカミナにローラーしてもらい、怪しそうな地点を地下コカトリスに調べてもらうか」
そう提案すると地下コカトリスが胸を張る。
「ぴよ!!」(お安い御用!!)
「ぴよよっ!」(やってやるぜ!)
頼もしい限りだ。やる気になってくれたコカトリスは本当に頼り甲斐がある。
「あとはブルーヒドラでしたら、私の笛も効果がありますです」
「効果……? ララトマの音楽にか」
「はいです! 水の波長を崩します! この笛で!」
じゃーんとララトマが草と枝で作った笛を出す。
どういう効果か聞いてみると『まりょくてきなものをぶるぶるさせる』らしい。
「前もこれで撃退しましたです!」
ざっくりしているものの、ドリアードは適当も嘘も言わない。
当人たちも原理や仕組みがわかってないが、効果は確かにある。
これまでの生活で俺は彼女たちを信頼しているからな。
まぁ、土に埋まることで『だいちのぱわー』で植物がガンガン育つのだ。
笛を奏でて特殊効果があるくらい、当然かもしれない。
とりあえず、かなりの収穫があった。
あとはブルーヒドラの残りの核……それを探し出さないとな。
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