774.ブルーヒドラ
「まぁ、ちょっとな……」
さすがにウッドは鋭い。俺たちの雰囲気を察したようだ。
隠すことでもないので、皆にも今日あったことを伝える。
「なるほどぴよねー。まほーのみずが、きけんであぶないぴよね」
「ウゴ、俺も手伝えることがあったら言って!」
ウッドが頼もしいことを言ってくれる。
「そうだな……。そうしたら戦闘要員に入ってもらってもいいか?」
「ええ、ウッドなら遅れを取らないかと……!」
「ウゴ、頑張る!」
ヒドラの首についても後で詳細を伝えよう。
だが幾つもの戦いを潜り抜けたウッドなら、大丈夫。
防御力なら俺より遥かに高いしな……。
あとは、ナール達が一緒にいる場では聞けなかったことがある。
「それで――少し聞きたいんだが」
「はい、わたしもお話をしたいと思っておりました」
俺は単刀直入に聞いた。
「魔王討伐の時、マルコシアスがいたんだろう? 水のヒドラも一緒に討伐したのか?」
「その通りです。あのときのマルちゃんは強かったですから……」
ステラのしみじみとした言葉にディアが驚く。
「ぴよ、マルちゃんがぴよ?」
今のマルコシアスはゆるみ切った顔でリラックスしている。
ぽよぽよとお腹も揺れちゃって……。
「我、強かったんだぞ?」
「ウゴゴ……本人も忘れてる?」
ステラがマルコシアスを膝に抱え、補足する。
「水のヒドラの首のうち、十二個はわたしが――八個をマルちゃんが打ち落としました」
「八個も……? それは凄いな」
「目にも止まらぬ速さで槍を振るっていたのですが……」
「ものおきにあるやつぴよ?」
「ウゴ、マルちゃんが来たときのやつ?」
二人が物置に視線を送る。
そこにはマルコシアスが召喚された時の鎧と槍が保管されている。
もとい、置きっぱなしだが。
「今の我には無理だぞ」
「言い切ったな……」
「断言しましたね」
今のマルコシアスに戦闘を期待できそうになかった。
まぁ、そこはいつも通りではある。
それならナナや他の皆にはこのまま秘密にしておくか……。
「まぁ、事情はわかった。それであの魔法具だが――他に知っていることは?」
「えーと、そうですね……。『ブルーヒドラ』、それが正式名称でした」
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