表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【4月コミカライズ発売!】植物魔法チートでのんびり領主生活始めます~前世の知識を駆使して農業したら、逆転人生始まった件~   作者: りょうと かえ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

770/836

770.水のヒドラ

 襲い掛かるヒドラの首。だが、まだ反応できる速さだ。

 すでに魔法を発動させる準備もできている。


 俺は腕を宙にかざし、魔法を発動させた。


「【巨木の腕】ッ!」


 魔法を唱えると、俺の目の前に巨大な木の腕が現れる。

 よし、これで――。


「押さえつけろ!」


 俺のイメージ通りに【巨木の腕】が動き、ヒドラの首を掴む。

 ヒドラが暴れようとするが……振り払われはしない。


 さらに魔法を操り、ヒドラの首をそのまま地面に叩きつける。


 激しくヒドラの首も暴れ、拘束から逃れようとしている。

 かなり強めの力のはずだが、ダメージはそんなにないのか。


「それなら――もうひとつ【巨木の腕】!!」


 【巨木の腕】は複数発動させることもできる。

 即座に二本目の【巨木の腕】が生まれ、ヒドラへとさらに覆いかぶさる。


 よし……動かない。完全にヒドラの根元を押さえつけた。


 そこで気付く。

 なにやら水の粘度が高いな。スライムみたいな質感になっている。


「これでいいのかっ!?」

「はい! エルト様、少しそのままで!」


 他の皆も素早く反応する。

 ジェシカは獅子の頭の杖を高々と振り上げた。


「水なら……私の魔法でも対処できますわ!」


 ジェシカから特大の魔力を感じる。


「【荒れ狂う激流】ですわ!」

「がおがおー!」


 獅子の頭の杖から猛烈な水流が放たれる。

 これは――水の上級魔法か。単体の敵に効果的な攻撃魔法だ。


 高圧の水流がヒドラの首を捉え、そのまま吹き飛ばした。

 まるで水のカッターだな。

 さすがに上級魔法だけあって凄まじい攻撃力だ。


「僕は……これっ!」


 ナナがお腹のポケットから、純白の鞭を取り出す。


「ぺちぺちムチ~。この鞭に触れるものは全て、無へ還る」


 名前の割りに格好いい。


 ナナが鞭をヒュッと動かすと、白の鞭から魔力が爆ぜた。

 気が付くと、ナナの近くのヒドラの首が弾け飛んでいる。


 おおー……言うだけはあるな……。


「わたしも遅れは取りませんッ!」


 ステラは叫ぶと、駆け出して巨木の腕に飛び乗る。


「すみません、踏み台にします!」

「わ、わかった!」


 もはや止めようもない。さらにステラは跳んでいた。

 全身から魔力をみなぎらせ、黄金色に輝いている。


 すでにバットを掴んだ腕もしならせている。ステラの必勝形だ。


「あえて、飛び込みます!」


 ステラを迎え撃とうと、二本のヒドラの首がもがく。


「もっぐー! あぶないもぐー!」

「いえ、狙い通りの位置――です!」


 恐らく、ステラの戦闘経験のなせる業なのだろう。

 ヒドラの首は動きを読み切っている。


 むしろ倒されるべくステラに誘導されているのだ。

 ステラが空中で体をひねり、迫る一本目の首へバットを振るう。


 バシャアアア!!

 それだけで一本目のヒドラの首が宙を舞う。


 おおう、スイングで水が斬れた……!

 だが、もう一本ヒドラの首は残っている。


「最後のひとつッ!」


 ステラの勢いは止まらない。打ち落とした首に足をかけ――さらに跳ぶ。

 水の粘度が高いから、踏み台にできたわけか。


 完全にステラはヒドラの動きを逆手に取っていた。


「そぉいっ!!」


 ステラが最後のヒドラの首にフルスイングする。


「グギャァアーーッ!!」


 ヒドラの首は叫び、弾け飛んだ。

 さらにステラはヒドラを蹴って跳躍する。


 ……ステラはそのままくるくると回って着地した。

 同時に、俺が押さえつけているヒドラの首から魔力が消える。


 粘度の高さがなくなり、ただの水に戻っていた。

お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] お腹のポケットから「ぺちぺちムチ~」 青くて丸い何かがよぎっ、、うっ頭が、、
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ