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【4月コミカライズ発売!】植物魔法チートでのんびり領主生活始めます~前世の知識を駆使して農業したら、逆転人生始まった件~   作者: りょうと かえ


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763/836

763.魔王城にて・前編

 数百年前――魔王領。

 それは広大な敷地を誇る、魔の要塞。

 月明かりに照らされる中、暗く湿った森の中でステラとマルコシアスは焚き火をしていた。


 銀の髪と真紅の鎧、鮮烈な印象の少女――それがマルコシアスだ。

 そのマルコシアスは縮こまって座り、焚き火を枝でツンツンしている。

 対面に座るのはステラ――星の光よりまばゆい金髪、真珠の様に真っ白な肌のエルフだ。

 ステラもマルコシアスと同じく、焚き火をツンツンしていた。


「……思い切り煙が出てるけど、大丈夫なんだぞ?」

「もう魔王領に入って三日ですが、特になにも起きてませんね。気付いていないとは思えませんから、無視されているんでしょう」


 ステラが軽く言い放った。魔王はこちらを舐め切っている。しかし、好都合でもあった。


「それより――あなたは本当に変わった魔力をお持ちですね。魔王が呼び出した悪魔とか、ハッタリだと思っていましたが……」

「あの魔王のせいで、我も不本意の連続なんだぞ。人間と争うとか嫌なんだぞ」

「ふむ……悪い方ではなさそうですね」


 マルコシアスと出会ったのは、ついさきほどのことだった。彼女は魔王打倒を目指すステラにほいほいついてきたのだ。


 マルコシアスは魔王に召喚されたはずだが、どうやら完全に支配下にはないらしい。

 悪意も邪気も感じない――それならばとステラは彼女を連れて歩いた。


「悪魔は平和主義なんだぞ。お昼寝が好きなんだぞ」

「ほんわかしていますね……」


 お昼寝が好き。ステラの頭の中には即座にコカトリスが思い浮かんだ。


「契約があるから詳しくは言えないけれど、ここから先は魔王の造ったゴーレム、動く魔法具がたくさんいるんだぞ。魔王はまともじゃないけど――その力は本物なんだぞ」

「わかっています……。これだけ離れていても、莫大な魔力を感じますからね」


 ステラは森の、さらに遥か遠くの魔力を意識した。

 馬で一日以上駆けた先、そこに桁外れの荒れ狂う魔力がある。


「……そこに魔王が――」

「ひゃう!?」


 突然、マルコシアスが焚き火の側から飛びのいた。ステラが戦闘体勢をとる。


「どうかしましたか!?」

「……なんでもないんだぞ」


 ものすごい大声だったような気がしたが。

 ステラが立ち上がり、すすっとマルコシアスの側へ行く。


「蜘蛛……ですか」


 マルコシアスの座っていた所に、大きな蜘蛛がいた。

 マルコシアスの膝がぷるぷるしている。

 周りを見てもいるのはこの蜘蛛だけだ。


「……森に帰しましょう」


 ステラは蜘蛛を手に取ると、茂みの中へとそっと移動させた。

お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 寝たあとにこれってことは、誰の夢だ……?
[良い点] マルちゃんのエピソード0なんだぞー!
[良い点] 昔のマルちゃんが登場するとは興味深いですね! 当時も今と同じ喋り方だったのか(笑)
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