761.仕事終わりの日常
ステラと一緒に家に帰ると、ディアとマルコシアスはすやすやとソファーで眠っていた。
「ウゴ、おかえりなさい」
「ただいま、ふたりは寝ちゃったのか」
見てみるとテーブルの上にはザンザスで買ってきたお土産の本が広げてある。どうやらこれを見ているうちに睡魔に負けたらしい。
「旅の思い出に浸りながら、みたいですね」
「むにゃ……かあさまの銅像がたくさん、ぴよ……」
「わふふ……雪がたくさんだぞぅ……」
どうやら旅の夢を見ているようだな。
「ふふっ、帰ってきてもザンザスの夢を見ているみたいですね」
「ああ、そうみたいだな」
そっと本を閉じ、ふたりを起こさないようにソファーに座る。ステラも隣に来た。
「ふぅ……」
村の日常に戻ってみると、あの吹雪もなんとはなしに懐かしくなる。あれほどの雪はこの辺りではまずないからな。
「ウゴ、今日のご飯はどうする?」
「そうだな……。キノコ料理とかどうだ?」
「いいですね。ディアとマルちゃんも喜ぶと思います」
こうして3人で夜ご飯を支度し、時間になった。寝ているふたりを起こそうと思った瞬間、ディアがぴょんと跳ね起きる。
「やばぴよ……っ!」
「わ、わふー?」
「起きるぴよよ! 大変ぴよ! 夢の中で歩くキノコにキックしていたら、本当にキノコの匂いがしてきたぴよよ!」
ディアの言葉にマルコシアスがもぞもぞっと起きた。目をぱちくりさせ、マルコシアスはディアを見つめる。
「つまり……どういうことなんだぞ?」
「夢のキノコが現実にもやってきたぴよ! 迎え撃つぴよよ!!」
「くむくむ、確かに……!! キノコの匂いがするんだぞ!」
「そうぴよよ! こうしちゃいられないぴよよー!」
そこでディアがくるっとリビングを見渡す。そのつぶらな瞳はやっと、テーブルの上に用意されたキノコ満腹ディナーへ向けられた。
「……ぴよ」
「わふ……今日の夜ご飯はキノコたくさんなんだぞ」
「なるぴよ。これはご飯の匂いだったぴよね……!」
そこでディアはこくこくと頷いた。
「世界の危機は回避できた、ぴよ!」
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