758.村へと
翌日、気持ちのよい目覚めだった。
「あさぴよ! あっさぴよー!」
ディアが勢いよくカーテンを開ける。強烈な日差しが差し込んで、俺も強制的に目が覚めた。
「わふー。おはよーなんだぞ」
「ウゴ、おはよー」
マルコシアスとウッドも起きる。ステラだけは枕を抱いたまま、うーんと唸っていた。
「おき! ぴよ!」
ディアがステラの髪に突撃し、もしゃーと揉む。
「ふぁ……あふ、あ……おはようございまふ……」
「ああ、おはよう」
ステラの髪はいつも通りぐしゃぐしゃだった。なぜかステラの寝癖はひどい。枕やベッドに頭をこすりまくっている……からだと思うが。夢の中でもコカトリスをもふっているのだろうか。
「きみたちもおきるぴよ!」
「……ぴよー」(……うにゃー)
部屋の中で塊になっていたコカトリスも、ディアの声で起きる。もぞもぞ、ごそごそ。羽をばたばた、やっとのことで目をぱちぱちさせながら立ち上がる。
目を覚ました俺たちは身支度を整え、ホテルを出た。すでにナナも着ぐるみ姿でスタンバイをしているが、とても眠そうである。
「おはよー……ふぁ」
「おはよう。まだ本格稼働はしてない感じだな……」
「ヴァンパイアだからー……」
ホテルの入り口にはレイアもいた。彼女は街で仕事があるようで、ここでお別れだ。レイアが誇らしげに胸を張る。
「ザンザスはいかがでしたか?」
「最高だったよ。また来たいな」
「ぴよ! 絶対遊びに来るぴよ!」
「わふふ! 当然なんだぞ!」
「それは良かったです……! またいつでもどうぞ!」
ステラとウッドは2回目だが、感慨深げだ。
「今度来るときは、また別のところを見て回りたいですね」
「ウゴ、そうしよう!」
コカトリスたちはどうだろうか。
「「ぴよー!」」(楽しかったー!)
良かった、彼らにとっても有意義な旅だったようだ。ナールの雪結晶もゲットできたし、全員無事。言うことなしである。
というわけで……ザンザスの外れで俺たちはロープでまとまり、ばびゅーんと村へと帰る。あれほど高かった塔も雑踏もあっという間に遠ざかっていく。
かわりに大樹の塔が地平線から見えてきた。
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