757.キノコデザート
それからもマツノタケ料理が供され、デザートへと進んでいった。
薄くスライスされたカカオ色の板のようなものが出てくる。板と言っても柔らかそうで薄いが。香りは芳醇で、焼いたチョコレートのようだ。
「ポルチーニ茸、マッシュルームをメインにしたデザートです。ベリーとカカオで味付けし、砂糖で固めて焼きました。」
「ほうほう……」
デザートもキノコか。俺の植物魔法ではキノコは出せないからな。
「おいしそうぴよ!」
「くむくむ……香辛料も色々と入って、良さそうな香りなんだぞ」
最後のデザートということで、フォークで食べてみる。ふむふむ……やはりキノコだからか柔らかい。パリッとしたのは火を当てた部分か。
甘さと酸味……柔らかいが確かな食感。不思議な感覚だな。前世で言うところのグミのような感じがする。
「ぴよ!」(うまし!)
「ぴよよー!」(甘くて、もにゅもにー!)
コカトリスもくちばしを動かし、堪能している。
「噛めば噛むほど味が出ますね」
「ウゴ、漬け込んでる?」
ウッドの疑問にレイアが頷いた。
「味の強いフルーツソースに漬け込みました。中までしっかり美味しいはずです」
「ウゴゴ! キノコじゃないみたい!」
「ぴよ! こーいう食べ方もあるぴよね!」
さすがにここまで手間のかかった料理は日常的には作れないからな。こうしたザンザスならではというところだ。
ステラも笑顔だ。
「ふぅ……珍しかったり目新しい料理を楽しめましたね」
「ああ、そうだな」
今日のキノコ尽くしについて色々と話をし、楽しい晩餐が終わった。
あてがわれた部屋に戻り、家族一緒にふかふかのベッドで横たわる。いよいよ明日には村に戻る。
星空は村と変わらないものの、建物の多さは段違いだ。この素晴らしい街には、また来たいものだな。
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