753.ダンジョンとの別れ
お腹いっぱいになったザンザスのコカトリスたちは、そのままごろんと横になった。
「ぴよ、ぴよよー」(ごちそうさまー、おやすみなさーい……)
「ぴよ〜」(満足満足〜)
ぐーぐー。
すぐに寝息が聞こえてくる。あっという間に寝たな……。
ステラがえへんと胸を張る。
「空腹のぴよちゃんは、どうやらいなくなったみたいですね。ミッションコンプリートです……!」
「よかったぴよね……!」
「にしても、こんなことがあるんだな……」
俺はすやすや眠るザンザスぴよを見た。この1層にはご飯があるような感じがしたが、そうでもないらしい。レイアが寝ているコカトリスのお腹を揉みながら補足してくれる。
「偶然にも樹木が減っている場所みたいですね。たまにこうしたことは起こります。いずれ上手くは回りますが……」
「どういうことなんだぞ?」
「痩せると、もっと遠くまでご飯を探しに出かけます」
な、なるほど……。そういうサイクルが回っているんだな。ステラもうんうんと頷いている。
「大きなところでは均衡が保たれているとはいえ、空腹なのはかわいそうですからね!」
というわけで、俺たちはザンザスの第1層を後にした。さすがにこのザンザスぴよを連れて帰るのは問題だしな……。また会いにくればいい。
ザンザスのダンジョンから戻ると、すでに夜に近くなっていた。
「ふう……もう夜近くか」
「ぴよっ! 本当ぴよね……!」
同行しているコカトリスも周囲をきょろきょろとしているな。
「ぴよよ……!!」(おお、暗め……!!)
「ぴよ」(ちょっと足元照らそ)
ぺかー。地下コカトリスの目がぼんやりと光る。しかし、こんなに長時間、ダンジョンにいたのは初めてだ。ナナがぴこぴこと羽を動かす。
「ま、ダンジョンの中は時間は流れても昼夜は適当だしね」
「懐中時計で時間は計れるのに、不思議だな」
あまりに長時間ダンジョンに潜っていると、地上に戻った時に体調が悪くなるらしい。前世で言うところの、時差ボケみたいなものか。そうなるのも頷ける。
「ウゴ、でも全員無事でよかったね」
「ああ、そうだな。それが何よりも大切だ」
俺もザンザスの深いところまで潜れたし、素材もゲットできた。ディアやウッド、マルコシアスにもいい経験になっただろうな。
「ぴよっ! じゃあ、ホテルで今日はたっぷり休むぴよー!!」
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