745.雪原を進む
俺もナナに続いてソリを降りる。振り返って見ると、物凄い崖だ。
「ふぅ……こんな崖から降りたとはな……」
「ぴよ! 燃えたぴよね!」
「わふふー。またやってみたいんだぞ!」
子どもたちには大好評のようだ。
やはり猛スピードを楽しむには、細かなことを考えてはいけないのだろう。例えば安全装置とかナナの操縦とか。こういうことを気にしてはいけないのだ。
「さて、これで全員かな?」
ナナがソリをにゅっとポケットに戻す。見渡すと、もちろん全員揃っていた。コカトリスの身体に雪がついているのは……多分遊んでいたからだ。
「そうだな、先に進もう」
「ええ、まだ目標は先ですから……!」
目指すはレア素材の『鏡面の雪結晶』だ。きらきら光る、膨大な魔力を秘めた素材だという。
それ以外にも途中でレアな素材があればゲットして帰る予定だ。せっかくだしな。
「ウゴ、にしても本当に雪だらけだね」
「崖から降りても変わらないな」
鏡面の雪結晶をゲットするには、第4層のいくつかの候補地を回る必要がある。運が良ければひとつめの候補地で手に入るし、最悪の場合は全部回らないといけない。
まぁ、そこはもう運次第だ。とりあえず候補地を回ってみよう。
そうして雪原を進むと、ときおり氷系の魔物と遭遇する。しかし特に問題はない。すぐさま討伐できるからだ。
「……本来であれば環境の悪さでもっと苦戦するんだろうな」
ステラがバットをタオルでふきふきしながら答える。
「そうですね、やはり視界の悪さは不利な点です。あとは寒いとやはり身体の動きも悪くなりますし」
このぴよ着ぐるみがなければ、俺も到底無理だったろう。ステラは別次元としても、レイアだって伊達にギルドマスターではない。割りと平気な顔をしている。
「ふふふ、ぴよちゃんにまた粉雪が……払いましょうね?」
「ぴよー!」(ありがとー!)
レイアが甲斐甲斐しくコカトリスの世話をしている。もちろんレイアはタイミングがあればコカトリスをもふもふしているわけだが……。
とはいえ、やはり本職の冒険者は鍛え方が違うのだなぁ……と思わざるを得ないのであった。
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